出題の重要度 ★★☆
【法改正】
区分所有法は令和8年(2026年)4月1日に改正法が施行され、集会の決議要件の数え方が変わりました。宅建試験はその年の4月1日現在施行されている法令から出題されるため、2026年度(令和8年度)試験からは改正後の内容が問われます。この記事は改正後の条文に基づいて書いています。
「義務違反者に対する措置」をわかりやすく解説
共同の利益に反する行為とは?
・区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません(法6条1項)。

4つの措置
| 措置 | 対象 | 決議要件 | 弁明の機会 |
| ① 行為の停止等の請求 | 区分所有者・占有者 | 訴訟によらなければ不要 訴訟提起には集会の決議 |
不要 |
| ② 使用禁止の請求 | 区分所有者 | 定足数:各過半数の出席/出席者の各4分の3以上 | 必要 |
| ③ 区分所有権の競売の請求 | 区分所有者 | 同上 | 必要 |
| ④ 占有者に対する引渡し請求 | 占有者 | 同上 | 必要 |
【補足】②〜④の措置をとるには、あらかじめ当該区分所有者又は占有者に弁明の機会を与えなければなりません。手続を欠くと決議は無効になります。

それぞれの措置の内容
| 措置 | 内容 |
| 行為の停止等 | 行為を停止し、結果を除去し、又は行為を予防するため必要な措置を執ることを請求する |
| 使用禁止 | 相当の期間、専有部分の使用を禁止する。区分所有権を奪うものではない |
| 競売の請求 | 区分所有権及び敷地利用権の競売を請求する。判決確定日から6か月以内に申し立てる |
| 引渡し請求 | 占有者に対し、専有部分の引渡しを請求する |
【補足】競売を申し立てられた区分所有者やその計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができません。追い出す意味がなくなるためです。
大規模滅失の復旧
・建物の価格の2分の1以下の滅失(小規模滅失)なら各区分所有者が単独で復旧できます。
・2分の1を超える滅失(大規模滅失)は集会の決議が必要で、出席した区分所有者及び議決権の各3分の2以上で決議します(区分所有法61条5項)。
・くわしくは「大規模滅失の復旧」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
建替え決議
・集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊して新たに建物を建築する旨を決議できます(耐震性不足等の場合は各4分の3以上)。出席者ではなく全体が基準で、定足数の定めもありません。
・くわしくは「建替え決議」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 騒音などで迷惑をかける区分所有者に、行為をやめるよう請求できる。 |
| イ | 使用禁止を請求するには、本人に弁明の機会を与える必要がある。 |
| ウ | 行為の停止を求める訴訟を起こすには、集会の決議が必要である。 |
| エ | 賃借人に対しては、部屋の引渡しを請求することはできない。 |
| オ | 建物の半分以下が壊れた場合、区分所有者が1人で直すことができる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・区分所有者の共同の利益に反する行為については、他の区分所有者の全員又は管理組合法人が、行為の停止・結果の除去・予防に必要な措置を請求できます。
・騒音や悪臭、共用部分の不法占拠などが典型例です。現に行為をしている場合だけでなく、行為をするおそれがある段階でも請求できます。
・4つの措置のうち最も軽いもので、裁判外の請求であれば集会の決議も弁明の機会も不要です。占有者に対しても同じ請求ができます。
イ ○ 正しい
・使用禁止の請求の決議をするには、あらかじめ当該区分所有者に弁明する機会を与えなければなりません。
・相当の期間、専有部分を使えなくする重い措置なので、言い分を聞く手続が要求されています。この手続を欠いた決議は無効です。
・弁明の機会が必要なのは使用禁止・競売・引渡し請求の3つで、決議要件はいずれも出席した区分所有者及び議決権の各4分の3以上です。
ウ ○ 正しい
・行為の停止等の請求について訴訟を提起するには、集会の決議によらなければなりません。
・裁判外で「やめてください」と請求するだけなら決議は不要です。決議が必要なのは訴訟を起こすときだけ、という区別が問われます。
・この決議は普通決議(出席者の各過半数)で足り、弁明の機会も不要です。使用禁止などとの違いを押さえましょう。
エ × 誤り
・占有者に対しても、専有部分の使用収益を目的とする契約の解除及び専有部分の引渡しを請求できます。できないとする点が誤りです。
・共同生活上の障害が著しく、他の方法では障害を除去できないときに、集会の決議に基づき訴えをもって請求します。弁明の機会も必要です。
・引渡しを受けた者は、遅滞なくその専有部分を占有する権原を有する者(賃貸人である区分所有者)に引き渡さなければなりません。
オ ○ 正しい
・建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した小規模滅失では、各区分所有者が滅失した共用部分と自己の専有部分を単独で復旧できます。
・復旧した者は、他の区分所有者に対し持分の割合に応じて費用の償還を請求できます。集会の普通決議で復旧を決めることもできます。
・2分の1を超える大規模滅失では、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上の決議が必要で、単独で復旧することはできません。
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