出題の重要度 ★★☆
「分離処分の禁止」をわかりやすく解説

分離処分の禁止とは?
・分離処分の禁止とは、専有部分と敷地利用権とを切り離して処分してはならないというルールのこと(法22条1項)。
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
なぜ禁止されるのか
・部屋の所有者と土地を使う権利者がばらばらになると、建物を建てておく根拠がなくなり、権利関係が収拾しなくなるからです。
・マンションは何十戸もの住戸が1つの土地の上に建っています。1戸でも切り離されると全体に影響します。
【補足】敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利のことです。所有権のほか地上権や賃借権のこともあります。

禁止されるのはどんな場合か
・条文は、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、としています。つまり共有になっているときです。
・権利の種類が所有権か借地権かは関係ありません。共有かどうかで決まります。
| 項目 | 内容 |
| 原則 | 専有部分と敷地利用権を分離して処分できない |
| 例外 | 規約に別段の定めがあるとき |
| 対象 | 敷地利用権が数人で有する権利であるとき |
規約で例外を定められる
・法22条1項ただし書は「規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」と定めています。
・この定めは、最初に専有部分の全部を所有する分譲業者が公正証書により単独で設定することもできます(法32条)。
【補足】同じ「分離処分できない」でも、共用部分の持分のほうには規約による例外の規定がありません。区別しておきましょう。
違反した処分は無効だが善意者には主張できない
・禁止に反する処分は無効です。ただしその無効を善意の相手方に主張することはできません(法23条)。
・事情を知らずに買った人を保護するためです。
・もっとも、分離して処分することができない旨の登記がされた後の処分であれば、善意の相手方にも無効を主張できます。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 住戸と敷地利用権は、原則として分けて売ることができない。 |
| イ | 規約で定めれば、住戸と敷地利用権を分けて売ることができる。 |
| ウ | 分離処分が禁止されるのは、敷地利用権が所有権のときだけである。 |
| エ | 禁止に反する処分は、善意の相手方にも無効を主張できる。 |
| オ | 共用部分の持分も、規約で定めれば住戸と分けて売れる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | × | × |
ア ○ 正しい
・・敷地利用権が数人で有する権利である場合、専有部分と敷地利用権を分離して処分できません(法22条1項)。
・部屋の所有者と土地を使う権利者がばらばらになると、建物の存続が危うくなるためです。
・ポイントは「原則として」で、規約に別段の定めがあれば分けられます。
イ ○ 正しい
・・法22条1項ただし書に「規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」という例外があります。
・原則と例外がセットなので、「一切できない」と言い切る記述は誤りになります。
・この定めは分譲業者が公正証書で単独に設定することもできます。あわせて覚えましょう。
ウ × 誤り
・・禁止されるのは敷地利用権が数人で有する権利であるときで、権利の種類は問いません。所有権に限る点が誤りです。
・地上権や賃借権であっても、共有になっていれば分離処分は禁止されます。
・「権利の種類」ではなく「共有かどうか」で決まる、と押さえましょう。
エ × 誤り
・・法23条により、無効を善意の相手方に主張することはできません。主張できるとする点が誤りです。
・事情を知らずに取引に入った相手を保護するためです。
・ただし分離処分できない旨の登記後の処分なら、善意でも無効を主張できます。ここが引っかけです。
オ × 誤り
・・共用部分の持分には規約による例外の規定がありません。正しくは規約があっても分離して処分できません。
・規約で外せるのは敷地利用権の分離処分禁止のほうです(法22条1項ただし書)。
・似た制度が2つあるので、「規約で外せるのは敷地利用権だけ」と覚えましょう。
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