出題の重要度 ★★★
「賃貸借」をわかりやすく解説
賃貸借とは?
・賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約する契約のこと(民法601条)。
・宅建試験では、直近22回の本試験すべてで出題されている最頻出の分野です。

存続期間
| 項目 | 内容 |
| 上限 | 50年。これより長い期間を定めても50年に短縮される |
| 更新 | できる。ただし更新の時から50年を超えられない |
| 下限 | なし |
【補足】建物の賃貸借については、借地借家法により民法604条(50年の上限)は適用されません。借地権にも借地借家法の特則があります。

期間の定めがない場合の解約
・当事者が期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができます。
| 賃貸借の目的物 | 解約申入れから終了までの期間 |
| 土地 | 1年 |
| 建物 | 3か月 |
| 動産・貸席 | 1日 |
対抗要件
・不動産の賃貸借は登記をすれば第三者に対抗できます(民法605条)。もっとも賃貸人に登記への協力義務はなく、実際には借地借家法が建物の登記(借地)と建物の引渡し(借家)を対抗要件としています。
・くわしくは「賃借権の対抗要件」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
賃貸人たる地位の移転
・対抗要件を備えた不動産が譲渡されたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転します(民法605条の2第1項)。賃借人の承諾は不要ですが、賃料を請求するには所有権移転の登記が必要です。
・くわしくは「賃貸人たる地位の移転」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
修繕と費用の負担
・賃貸人は使用収益に必要な修繕義務を負います(民法606条1項)。賃借人が費用を出したときは、必要費は直ちに、有益費は賃貸借の終了時に償還を請求できます(民法608条)。
・くわしくは「賃貸物の修繕と費用の償還」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
賃借権の譲渡・転貸
・賃借権の譲渡も転貸も賃貸人の承諾が必要で、無断でさせたときは原則として解除できます。適法な転貸では転借人が賃貸人に直接義務を負い、合意解除は転借人に対抗できませんが、債務不履行による解除は対抗できます。
・くわしくは「賃借権の譲渡・転貸」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
敷金
・敷金とは、賃料などの債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭のこと。
・返還されるのは賃貸借が終了し、賃貸物の返還を受けたときで、明渡しが先、返還があとという順序です。未払賃料への充当は賃貸人からはできる/賃借人からは請求できないという点が繰り返し問われます。
・くわしくは「敷金」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
原状回復義務
・賃借人は賃借物に生じた損傷を原状に復する義務を負いますが、通常の使用収益によって生じた損耗(通常損耗)と経年変化は除かれます(民法621条)。
・くわしくは「賃借人の原状回復義務」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。 |
| イ | 必要費は、賃貸借が終わるまで返してもらえない。 |
| ウ | 賃借人は、賃貸人の承諾がなくても部屋を又貸しできる。 |
| エ | 敷金は、部屋を明け渡す前に返してもらえる。 |
| オ | 賃借人は、日焼けなど通常の使用でできた傷まで元に戻す必要はない。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | × | ○ |
ア ○ 正しい
・民法の賃貸借の存続期間の上限は50年で、これより長い期間を定めても50年に短縮されます。
・あまりに長期間物を拘束すると所有者の自由を奪い、有効利用も妨げられるためです。更新はできますが、更新の時から50年を超えることはできません。
・注意したいのは、建物の賃貸借にはこの50年の上限が適用されないこと(借地借家法29条2項)。借家の存続期間に上限はありません。
イ × 誤り
・必要費は、支出したときに直ちに償還を請求できます。賃貸借の終了まで待つ必要はありません。
・必要費は雨漏りの修理のように、本来は賃貸人が負担すべき費用を賃借人が立て替えたものだからです。すぐ返してもらえて当然、と考えると覚えやすいです。
・終了の時に請求するのは有益費のほう。有益費は物の価値を高める費用で、その価値は終了時に賃貸人の手元に残るからです。入れ替えた引っかけが頻出します。
ウ × 誤り
・賃借権の譲渡や転貸(又貸し)には賃貸人の承諾が必要です。承諾なしにはできません。
・誰が使うのかは賃貸人にとって重大な関心事であり、賃貸借は当事者の信頼関係に基づく契約だからです。勝手に使用者を替えられては困ります。
・無断で転貸すると賃貸人は契約を解除できます。ただし背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できない、というのが判例です。
エ × 誤り
・敷金の返還時期は賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたとき。つまり明け渡した後です。
・敷金は未払賃料や原状回復費用を担保するお金なので、明渡しを受けて初めて差し引く額が確定するからです。
・したがって明渡しと敷金の返還は同時履行の関係に立ちません。「敷金を返してくれるまで出て行かない」とは言えない、と押さえてください。
オ ○ 正しい
・原状回復の対象から通常損耗(通常の使用収益によって生じた損耗)と経年変化は除かれています。
・普通に使っていれば当然に生じる傷みで、その分はすでに賃料に織り込まれていると考えられるからです。二重に負担させない趣旨です。
・賃借人の責めに帰することができない事由による損傷も対象外です。逆に、故意や不注意でつけた傷は原状回復しなければなりません。
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