出題の重要度 ★☆☆
「一時使用目的の借地権」をわかりやすく解説

一時使用目的の借地権とは?
・臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、借地借家法の多くの規定が適用されません(借地借家法25条)。
第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。
適用されない規定
・適用が外れるのは、借地権者を手厚く守るための規定です。
| 外れる規定 | 内容 |
| 3条 | 存続期間30年 |
| 4条〜6条 | 更新後の期間・更新請求・使用継続・正当の事由 |
| 7条・8条 | 再築による期間の延長など |
| 13条 | 建物買取請求権 |
| 22条〜24条 | 3種類の定期借地権 |
【補足】これらが外れる結果、存続期間は当事者が自由に決められ、期間が来れば更新されずに終わります。

適用される規定もある
・25条に列挙されていない規定は適用されます。見落としやすいのが対抗力です。
| 規定 | 扱い |
| 10条(借地権の対抗力) | 適用される。建物の登記があれば対抗できる |
| 11条(借賃増減請求権) | 適用される |
| 3条〜8条・13条・22条〜24条 | 適用されない |
一時使用かどうかの判断
・一時使用にあたるかは、契約の目的や建物の種類・構造、使用の期間などから客観的に判断されます。
・期間を短く定めさえすれば一時使用になる、というものではありません。堅固な建物を建てて長く使う予定なら、期間が短くても一時使用とは認められません。
【補足】「一時使用のために設定したことが明らかな場合」という条文の書き方からも、はっきりしない場合は通常の借地権として扱われることが分かります。
定期借地権との違い
・どちらも更新のない借地権ですが、別の制度です。
| 項目 | 一時使用目的 | 定期借地権 |
| 根拠 | 法25条 | 法22条〜24条 |
| 期間 | 制限なし | 50年以上など下限あり |
| 方式 | 制限なし | 書面や公正証書が必要なものがある |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 一時使用目的の借地権にも、30年の存続期間が適用される。 |
| イ | 一時使用目的の借地権では、建物買取請求権は認められない。 |
| ウ | 一時使用目的でも、契約の更新に関する規定が適用される。 |
| エ | 一時使用目的の借地権は、定期借地権の一種である。 |
| オ | 一時使用目的でも、建物の登記があれば借地権を対抗できる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | ○ | × | × | ○ |
ア × 誤り
・適用されません。存続期間を定める3条は25条により適用が外れます。
・正しくは「存続期間は当事者が自由に定められる」です。数か月の契約も可能です。
・短期間の利用に30年を強制しても意味がない、という理由から外されています。
イ ○ 正しい
・そのとおりです。建物買取請求権を定める13条は適用されません(法25条)。
・仮設の建物を地主に買い取らせるのは実情に合わないためです。
・25条に列挙された条文は覚えるより、「借地権者を守る規定が外れる」と押さえると楽です。
ウ × 誤り
・適用されません。更新に関する4条から6条までは25条で除外されています。
・正しくは「更新の規定は適用されず、期間が来れば終了する」です。
・更新されないという結論は定期借地権と同じですが、根拠となる条文が違います。
エ × 誤り
・別の制度です。定期借地権の規定(22条〜24条)は一時使用目的には適用されません。
・正しくは「25条による特則であり、定期借地権とは異なる」です。
・定期借地権は期間の長さで決まり、一時使用目的は目的で決まります。区別しましょう。
オ ○ 正しい
・そのとおりです。対抗力を定める10条は25条に列挙されておらず、適用されます。
・短期間でも、土地が売られたときに立場を主張できないと借主が困るためです。
・「一時使用なら借地借家法は一切使えない」と考えると引っかかります。外れるのは列挙分だけです。
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