出題の重要度 ★★☆
「建物買取請求権」をわかりやすく解説

建物買取請求権とは?
・建物買取請求権とは、借地権の存続期間が満了し契約の更新がないときに、借地権者が借地権設定者に対して建物などを時価で買い取るべきことを請求できる権利のこと(借地借家法13条1項)。
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
使えるのは「更新がないとき」
・条文は存続期間が満了し、契約の更新がないときと定めています。更新があった場合には使いません。
| 場面 | 買取請求 |
| 期間満了で更新されなかった | できる |
| 更新の請求をしたが正当の事由により拒まれた | できる |
| 契約が更新された | できない |
【補足】正当の事由が認められて更新が拒まれた場面こそ、この権利の出番です。土地は返すが建物は買い取ってもらう、という決着になります。

請求しただけで売買が成立する
・建物買取請求権は形成権です。借地権者が請求すると、相手の承知がなくてもその時点で時価による売買契約が成立します。
・代金は時価です。建てたときの費用でも、借地権者が希望する額でもありません。
使えない場合
・次の場合には行使できません。
| 場面 | 理由 |
| 債務不履行で解除された | 賃料を払わなかった借地権者を保護する必要がない(判例) |
| 定期借地権で特約がある | 買取請求をしない旨の特約を定められる(法22条・23条) |
| 一時使用目的の借地権 | 13条の規定が適用されない(法25条) |
【補足】借地権者の債務不履行を理由に契約が解除された場合、期間の満了による終了ではないため、そもそも13条の場面にあたりません。
特約と第三者の買取請求権
・建物買取請求権を排除する特約など、借地権者に不利な特約は無効です(法16条)。
・また、借地上の建物を買った第三者は、借地権設定者が賃借権の譲渡・転貸を承諾しないときに、自ら時価での買取りを請求できます(法14条)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 期間が満了して更新がないとき、借主は建物の買取りを請求できる。 |
| イ | 買取価格は、借主が自由に決めることができる。 |
| ウ | 借主が家賃を滞納して解除された場合も、買取りを請求できる。 |
| エ | 買取りの請求があると、貸主が承知しなくても売買が成立する。 |
| オ | 建物買取請求権を認めない特約は、有効である。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・そのとおりです。存続期間の満了時に更新がないときは、時価での買取りを請求できます(法13条1項)。
・建物を壊して更地で返すことになると借地権者の損失が大きいため、値打ちを回収させる趣旨です。
・「更新がないとき」という条件が前提です。更新された場合には出番がありません。
イ × 誤り
・価格は時価です(法13条1項)。借地権者が自由に決められるわけではありません。
・正しくは「時価で買い取るべきことを請求できる」です。建築費でも希望額でもありません。
・金額の話は「時価」の一語に集約されます。ほかの基準が書いてあれば誤りだと判断できます。
ウ × 誤り
・できません。債務不履行を理由に解除された借地権者は保護に値しないとされています(判例)。
・正しくは「行使できない」です。期間満了による終了ではないため、13条の場面にあたりません。
・「更新がないとき」と「解除されたとき」は別物です。終わり方で結論が変わる点が狙われます。
エ ○ 正しい
・そのとおりです。建物買取請求権は形成権なので、請求だけで売買契約が成立します。
・相手の承諾を待っていては借地権者が保護されないため、一方的な意思表示に効果を認めています。
・「設定者が応じてはじめて売買になる」という言い回しは誤りです。
オ × 誤り
・無効です。13条に反する特約で借地権者に不利なものは無効とされています(法16条)。
・正しくは「借地権者に不利な特約は無効」です。強行規定なので当事者の合意では外せません。
・例外は定期借地権で、こちらは法律が特約を認めているので有効になります。
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