出題の重要度 ★★☆
「建物譲渡特約付借地権」をわかりやすく解説

建物譲渡特約付借地権とは?
・建物譲渡特約付借地権とは、借地権を消滅させるために、設定後30年以上を経過した日に借地上の建物を借地権設定者へ相当の対価で譲渡する旨を定めた借地権のこと(借地借家法24条1項)。
借地権を設定する場合においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
30年以上を経過した日に、相当の対価で
・要件は次の2つです。
| 項目 | 内容 |
| 譲渡の時期 | 設定後30年以上を経過した日 |
| 対価 | 相当の対価。無償では認められない |
【補足】「30年以上」は建物を建てた借地権者が投資を回収するのに必要な期間として設けられています。25年後に譲渡する特約は認められません。

書面によらなくてもよい
・3種類の定期借地権のうち、方式の制限がないのはこれだけです。書面がなくても、口頭でも設定できます。
| 種類 | 方式 |
| 一般定期借地権 | 公正証書による等書面 |
| 事業用定期借地権 | 公正証書に限る |
| 建物譲渡特約付借地権 | 書面は不要 |
借地権が消滅した後の建物の使用
・特約により借地権が消滅した後も、借地権者や建物の賃借人が建物を使い続けているときは、請求によって期間の定めのない建物の賃貸借がされたものとみなされます(法24条2項)。
・建物の借賃は、当事者の請求により裁判所が定めます。
【補足】借地権者が請求した場合で借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借になります。
ほかの定期借地権との比較
・3種類を並べると次のとおりです。
| 種類 | 期間 | 終了時の建物 |
| 一般定期借地権 | 50年以上 | 更地にして返す |
| 事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 | 更地にして返す |
| 建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 相当の対価で譲渡 |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 建物譲渡特約付借地権は、書面で契約しなければならない。 |
| イ | 建物を譲渡する時期は、設定後30年以上を経過した日である。 |
| ウ | 建物は、無償で譲渡する約束をしなければならない。 |
| エ | この特約によって、借地権は消滅する。 |
| オ | 借地権が消滅しても、借主は請求により建物を借り続けられる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | ○ | × | ○ | ○ |
ア × 誤り
・書面は不要です。24条には方式の定めがありません。
・正しくは「口頭でも設定できる」です。定期借地権のうち方式の制限がないのはこれだけです。
・一般定期借地権は書面、事業用は公正証書。3つの方式をまとめて覚えると迷いません。
イ ○ 正しい
・そのとおりです。設定後30年以上を経過した日に譲渡する旨を定めます(法24条1項)。
・建物を建てた借地権者が投資を回収できる期間として30年が設けられています。
・「20年」「50年」と数字を入れ替えた選択肢が出ます。ここは30年です。
ウ × 誤り
・相当の対価で譲渡します(法24条1項)。無償では認められません。
・正しくは「相当の対価で譲渡する旨を定める」です。ただで取り上げる制度ではありません。
・「時価」ではなく「相当の対価」という表現である点も押さえておきましょう。
エ ○ 正しい
・そのとおりです。条文は「借地権を消滅させるため」と定めており、特約により借地権が消滅します。
・建物が地主のものになるので、土地を借りている理由がなくなるという流れです。
・更新がないという形ではなく消滅という形で終わる点が、ほかの2つと違います。
オ ○ 正しい
・そのとおりです。使用を継続している者が請求すると、期間の定めのない建物の賃貸借がされたものとみなされます(法24条2項)。
・住んでいる人がいきなり追い出されないようにするための手当てです。
・自動的にそうなるのではなく請求が必要な点に注意しましょう。
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