出題の重要度 ★★☆
「手付」をわかりやすく解説

手付とは?
・手付とは、契約のときに買主が売主に渡すお金です(民法557条)。
・とくに約束がなければ、解約手付として、契約を解除するために使えます。
手付による解除
・相手が履行に着手するまでは、次のように手付で解除できます(民法557条1項)。
| 解除する人 | 方法 |
| 買主 | 手付を放棄する(渡した手付を捨てる) |
| 売主 | 手付の倍額を現実に提供する |
買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。(民法557条1項)

相手が履行に着手すると解除できない
・相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除できません(民法557条1項ただし書)。
・大事なのは「相手方が着手したか」です。自分が着手していても、相手が未着手なら解除できます。
倍額は「現実に提供」
・売主が解除するには、手付の倍額を現実に提供しなければなりません。
・「倍額を払う」と口で言うだけでは足りず、実際に用意して差し出す必要があります。たとえば、100万円の手付を受け取った売主が解除するなら、200万円を実際に用意して買主に差し出します。
【補足】買主が解除するときは、すでに手付を渡しているので、放棄の意思表示だけで足ります。
宅建業法の手付との関係
・宅建業者が売主のときは、宅建業法で手付は代金の2割までなどの制限があります。
・くわしくは手付の額の制限(宅建業法)をご覧ください。
【補足】民法は「手付でどう解除するか」、宅建業法は「手付の額や性質の制限」を定めている、と整理しましょう。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 買主は、手付を放棄して契約を解除できる。 |
| イ | 売主が手付で解除するには、手付の倍額を現実に提供する。 |
| ウ | 自分が履行に着手していれば、相手が未着手でも手付解除できない。 |
| エ | 相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除できない。 |
| オ | 解約手付による解除では、放棄・倍返しのほかに損害賠償も請求できる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・買主は手付を放棄して解除できます(民法557条)。
・渡した手付を捨てることで解除できます。
・相手が履行に着手する前に限られます。
イ ○ 正しい
・・売主は倍額を現実に提供して解除します(民法557条)。
・口で言うだけでは足りません。
・買主は放棄の意思表示だけで足ります。
ウ × 誤り
・・解除できなくなるのは相手方が着手した後です(民法557条ただし書)。
・自分が着手していても、相手が未着手なら解除できます。
・「相手が着手したか」で判断します。
エ ○ 正しい
・・相手が履行に着手した後は手付解除できません(民法557条)。
・相手の準備を無駄にしないためです。
・着手前なら理由なく解除できます。
オ × 誤り
・・手付解除では損害賠償は請求できません(民法557条2項)。
・手付の放棄・倍返しで清算が済むためです。
・「損害賠償も請求できる」は誤りです。
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