出題の重要度 ★★☆
「公正証書による規約の設定」をわかりやすく解説

公正証書による規約の設定とは?
・公正証書による規約の設定とは、最初に建物の専有部分の全部を所有する者が、集会を開かずに公正証書で規約を定めること(法32条)。
最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書の規約を設定することができる。
設定できるのは分譲業者だけ
・設定できるのは「最初に建物の専有部分の全部を所有する者」です。分譲マンションを建てた業者が典型例です。
・住戸が売れて区分所有者が複数になった後は、この方法は使えません。規約の設定は集会の決議で行うことになります。
【補足】集会による規約の設定・変更・廃止は、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数で行います(法31条1項)。令和8年4月1日施行の改正で、分母が全体から出席者に変わりました。

定められるのは4つの事項だけ
・公正証書で定められるのは、次の4つに限られます。
| 公正証書で設定できる規約 | 条文 |
| 規約共用部分の定め | 法4条2項 |
| 規約敷地の定め | 法5条1項 |
| 分離処分ができる旨の定め | 法22条1項ただし書 |
| 敷地利用権の割合の定め | 法22条2項ただし書 |
なぜこの4つなのか
・この4つは、住戸が売り出される前に決めておかないと分譲そのものが成り立たない事項だからです。
・たとえば管理人室を規約共用部分にしておかなければ、誰かの専有部分になってしまいます。敷地利用権の割合も、売る前に決まっている必要があります。
【補足】裏を返せば、住み始めてから決めればよい事項は公正証書で定められません。「4つ以外は集会の決議」と押さえましょう。
公正証書によらなければならない
・この規約は公正証書によって設定します。私文書で作っても効力を生じません。
・後から入居する買主全員を拘束する強いルールなので、公証人が関与する厳格な方式が求められています。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 分譲前の業者は、公正証書で規約を定めることができる。 |
| イ | 公正証書で規約共用部分を定めることができる。 |
| ウ | 公正証書で管理費の額を定めることができる。 |
| エ | 公正証書ではなく、業者が作った書面でも規約を設定できる。 |
| オ | 区分所有者が複数になった後も、業者が単独で規約を作れる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | × | × |
ア ○ 正しい
・・最初に専有部分の全部を所有する者は、公正証書により一定の規約を設定できます(法32条)。
・分譲前は区分所有者が1人しかおらず、集会を開きようがないためです。
・住戸が売れて区分所有者が複数になれば、規約は集会の決議で設定します。
イ ○ 正しい
・・規約共用部分の定めは、公正証書で設定できる4つの事項の1つです。
・管理人室などを売り出す前に共用部分にしておかないと、誰かの専有部分になってしまうからです。
・規約敷地・分離処分ができる旨・敷地利用権の割合とあわせて4つ、と数で覚えましょう。
ウ × 誤り
・・管理費は公正証書で定められる事項に含まれていません。正しくは集会の決議で規約を設定します。
・定められるのは規約共用部分・規約敷地・分離処分ができる旨・敷地利用権の割合の4つだけです。
・4つとも「建物と敷地の枠組み」に関するもの、という共通点で見分けられます。
エ × 誤り
・・条文が「公正証書により」と定めているので、私文書では設定できません。書面でよいとする点が誤りです。
・後から買う人全員を拘束する強いルールなので、公証人が関与する方式が求められます。
・「公正証書」という言葉を「書面」にすり替えた選択肢に注意しましょう。
オ × 誤り
・・作れるのは「最初に専有部分の全部を所有する」段階に限られます。正しくは集会の決議によります。
・区分所有者が増えれば、その全員の意思をまとめる手続が必要になるからです。
・「いつまで単独でできるか」という時点の問題として押さえておきましょう。
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