出題の重要度 ★★☆
「契約締結時期の制限」をわかりやすく解説

契約締結時期の制限とは?
・契約締結時期の制限とは、工事の完了前の宅地・建物について、必要な許可等を受けた後でなければ売買・交換の契約をしてはならないという決まりのこと(宅建業法36条)。
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。
制限されるのは売買・交換だけ
・条文が挙げているのは売買と交換だけで、貸借は含まれていません。
| 取引 | 許可等の前に契約できるか |
| 売買 | できない |
| 交換 | できない |
| 貸借 | できる |
・ここでいう「許可等」とは、開発許可や建築確認のほか、政令で定められた各種の許可・認可・確認をいいます。
【補足】貸借なら、借りた人が建物を利用できないという事態にはなりにくいため、契約までは禁止されていません。

広告の開始時期の制限との違い
・広告の開始時期の制限(33条)は貸借も含めてすべての取引が対象です。ここが36条との違いです。
| 項目 | 広告(33条) | 契約(36条) |
| 売買・交換 | できない | できない |
| 貸借 | できない | できる |
| 罰則 | なし | なし |
| 業務停止処分 | 対象外 | 対象 |
自ら当事者でも代理・媒介でも
・36条は、自ら当事者として契約する場合も、代理・媒介をする場合も、いずれも禁止しています。
・立場によって結論が変わることはありません。
・また、相手が宅建業者であっても制限されます。8種制限のように「買主が業者でないとき」という条件は付いていません。
【補足】許可等を申請中である旨を明示しても契約はできません。停止条件を付けても同じです。
違反したときは
・36条違反に罰則はありません。
・ただし、指示処分に加えて業務停止処分の対象になります(65条2項2号)。33条違反が指示処分どまりなのと比べて重く扱われています。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 工事完了前でも、許可を受けた後なら売買契約ができる。 |
| イ | 建築確認の前でも、貸借の契約はできる。 |
| ウ | 建築確認の前でも、貸借の広告はできる。 |
| エ | 媒介であれば、許可の前でも売買契約を成立させてよい。 |
| オ | 許可を申請中であると伝えれば、売買契約をしてよい。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | × | × |
ア ○ 正しい
・・そのとおりです。許可等の処分があった後であれば契約できます(宅建業法36条)。
・禁止されているのは「許可等の前」であって、工事が終わっていないこと自体は問題になりません。
・「工事が完了するまで契約できない」とする選択肢は誤りです。基準は工事の完了ではなく許可です。
イ ○ 正しい
・・そのとおりです。36条が禁じているのは売買と交換だけで、貸借は含まれていません。
・借りる側は代金を一括で払うわけではなく、不利益が大きくならないためだと説明されます。
・広告のほうは貸借もできません。広告と契約で結論が逆になる点が最大の狙い目です。
ウ × 誤り
・・正しくは広告はできません。広告の開始時期の制限は貸借も対象です(33条)。
・広告は不特定多数の人の目に触れるため、実現するか分からない物件を宣伝させない趣旨です。
・「契約はできる、広告はできない」と対にして覚えましょう。
エ × 誤り
・・正しくは媒介でも禁止されます。自ら当事者、代理、媒介のいずれも対象です。
・誰の立場で関わっても、許可前の物件が売られるという結果は変わらないためです。
・「自ら売主のときだけ」「代理は除かれる」とする選択肢は誤りです。
オ × 誤り
・・正しくは申請中である旨を伝えても契約はできません。
・許可が下りるかどうかは申請の時点では分からず、買主の不利益を防げないからです。
・「許可が下りることを停止条件とすればよい」とする選択肢も誤りです。
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