出題の重要度 ★☆☆
「取壊し予定の建物の賃貸借」をわかりやすく解説

取壊し予定の建物の賃貸借とは?
・取壊し予定の建物の賃貸借とは、取り壊すことが明らかな建物について、取壊しの時に賃貸借が終了する旨を定める契約のこと(法39条1項)。
・借家では借主に不利な特約が無効になるのが原則ですが(法30条)、この制度は30条にかかわらず定められる例外として置かれています。
使えるのはどんな場合か
・使えるのは、法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合に限られます。
法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
| あてはまる例 |
| 土地区画整理事業により取り壊すことが決まっている建物 |
| 借地権の存続期間の満了により建物を取り壊すべき場合 |
【補足】「そのうち古くなったら壊すつもりだ」という程度では足りません。法令又は契約によって明らかであることが必要です。

書面でしなければならない
・この特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければなりません(法39条2項)。
・公正証書である必要はありません。書面であればよい、というのがポイントです。
・特約の内容と取り壊すべき事由を記録した電磁的記録によってされたときも、書面によってされたものとみなされます(法39条3項)。
定期建物賃貸借との違い
・どちらも更新のない契約ですが、いつ終わるのかが違います。
| 終わるとき | 方式 | |
| 定期建物賃貸借 | 定めた期間の満了時 | 公正証書による等書面+事前説明 |
| 取壊し予定の建物 | 建物を取り壊す時 | 取り壊すべき事由を記載した書面 |
・定期建物賃貸借ではあらかじめ書面を交付して説明する義務がありますが(法38条3項)、取壊し予定の建物の賃貸借にはこの義務はありません。
【補足】取壊しの時期が前後しても、実際に取り壊すこととなる時に終了します。あらかじめ何年何月と特定されている必要はありません。
一時使用目的の建物の賃貸借との違い
・一時使用目的の建物の賃貸借(法40条)は、一時使用のためであることが明らかな場合に、借家の規定がまるごと適用されないというものです。
・取壊し予定の建物の賃貸借は、借家の規定は適用されたうえで、終了の定めだけが特別に認められる制度です。適用の外に出るわけではありません。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 取壊し予定の建物の賃貸借は、公正証書でしなければならない。 |
| イ | この特約は、口頭で定めても有効である。 |
| ウ | 契約が終わるのは、建物を取り壊すこととなる時である。 |
| エ | 取り壊す予定は、法令又は契約により明らかである必要がある。 |
| オ | 一時使用目的の建物の賃貸借には、借家の規定が適用されない。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | × | ○ | ○ | ○ |
ア × 誤り
・公正証書である必要はありません。取り壊すべき事由を記載した書面であれば足ります(法39条2項)。
・取壊しが決まっていることを書面で明らかにさせれば、借主の不意打ちは防げるからです。
・正しくは「書面によってすればよい」です。定期建物賃貸借の「公正証書による等書面」と混同しないようにしましょう。
イ × 誤り
・口頭ではできません。書面によってしなければならないと定められています(法39条2項)。
・いつ契約が終わるのかは借主にとって重大なので、証拠に残る形を求めているからです。
・正しくは「取り壊すべき事由を記載した書面が必要」です。電磁的記録でされたときは書面とみなされます。
ウ ○ 正しい
・そのとおりです。建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定められます(法39条1項)。
・建物がなくなれば貸し借りを続けられないので、その時点に合わせて終わらせる制度です。
・定期建物賃貸借が「定めた期間の満了時」に終わるのと対比して覚えましょう。
エ ○ 正しい
・そのとおりです。法令又は契約により取り壊すべきことが明らかな場合に限られます(法39条1項)。
・貸主が「そのうち壊す」と言うだけで使えるなら、借主の保護が骨抜きになってしまうからです。
・区画整理事業による取壊しや、借地権の期間満了による取壊しが典型例です。
オ ○ 正しい
・そのとおりです。一時使用のためであることが明らかな場合、借家の章の規定は適用されません(法40条)。
・短期間だけ使うことがはっきりしているなら、長期の居住を守るしくみは要らないからです。
・取壊し予定の建物は借家の規定が適用されたうえで終了の定めだけが特別に認められます。適用の有無が違います。
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