出題の重要度 ★★★
「定期建物賃貸借」をわかりやすく解説
定期建物賃貸借とは?
・定期建物賃貸借(定期借家)とは、契約の更新がなく、期間の満了により確定的に終了する建物の賃貸借のこと(法38条)。

成立の要件
| 要件 | 内容 |
| ① 期間の定めがある | 期間の定めのない契約では定期建物賃貸借にできない |
| ② 書面による契約 | 公正証書による等書面によって契約する(電磁的記録も可) |
| ③ 事前の説明 | あらかじめ、更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明 |
・③の説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めが無効となります(法38条5項)。
【補足】賃借人の承諾を得れば、事前説明の書面に代えて電磁的方法で提供することもできます。

普通の借家との比較
| 項目 | 普通建物賃貸借 | 定期建物賃貸借 |
| 契約の方式 | 書面不要(口頭でもよい) | 書面が必要 |
| 事前の説明 | 不要 | 必要(別途書面を交付) |
| 期間1年未満 | 期間の定めなしとみなされる | 有効(1年未満でもよい) |
| 更新 | あり(正当の事由がなければ拒絶できない) | なし |
| 借賃減額請求 | 特約があっても排除できない | 特約があれば排除できる |
終了の通知
・期間が1年以上である場合、賃貸人は期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対し期間の満了により終了する旨を通知しなければ、終了を対抗できません。
| 項目 | 内容 |
| 通知が必要な場合 | 期間が1年以上であるとき |
| 通知期間 | 期間満了の1年前から6か月前までの間 |
| 通知が遅れた場合 | 通知の日から6か月を経過した後は終了を対抗できる |
【補足】期間が1年未満の定期建物賃貸借では、終了の通知は不要です。
賃借人からの中途解約
・次の要件をすべて満たす場合、賃借人は解約の申入れをすることができ、申入れの日から1か月を経過することによって終了します(法38条7項)。
| 要件 |
| ・居住の用に供する建物であること |
| ・床面積が200㎡未満であること |
| ・転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となったこと |
取壊し予定の建物の賃貸借
・法令又は契約により取り壊すことが明らかな建物について、取壊しの時に終了する旨を定められる制度です。取り壊すべき事由を記載した書面が必要です(法39条)。
・くわしくは「取壊し予定の建物の賃貸借」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 定期建物賃貸借の契約は、書面で行わなければならない。 |
| イ | 定期建物賃貸借では、契約書に更新がない旨を書いておけば説明はいらない。 |
| ウ | 定期建物賃貸借では、期間を6か月と定めることができる。 |
| エ | 定期建物賃貸借は、公正証書でなければ契約できない。 |
| オ | 定期建物賃貸借の借主は、どんな場合でも途中で解約できる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | × |
ア ○ 正しい
・定期建物賃貸借は「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」更新がない旨を定められます。書面が必要です。
・更新がなく期間の満了で必ず出ていくことになる契約なので、口約束で成立させると借主が不利益に気づけないからです。
・普通の借家契約は口頭でも成立します。書面が要るのは定期借家のほう、という対比が問われます。なお契約内容を記録した電磁的記録でもかまいません。
イ × 誤り
・あらかじめ、更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明する必要があります。契約書に書いておくだけでは足りません。
・借主に「この契約は更新されない」とはっきり自覚させるための手続だからです。契約書の一条項では読み飛ばされてしまいます。
・この説明をしなかったときは更新がない旨の定めが無効となり、更新のある普通の借家として扱われます。契約自体が無効になるのではない点に注意してください。
ウ ○ 正しい
・定期建物賃貸借には「1年未満は期間の定めなしとみなす」という29条1項が適用されないため、1年未満の期間も有効です。
・更新がないことを分かったうえで結ぶ契約なので、短期間だけ貸したい・借りたいという需要にも応えられるようにしたものです。
・普通の借家では6か月と定めても期間の定めがない契約になります。定期借家との違いが直球で問われるところです。
エ × 誤り
・条文は「公正証書による等書面」と定めており、書面であれば足ります。公正証書に限られません。
・「公正証書による等」の「等」は、公正証書があくまで例示だという意味です。書面であることは必要、公正証書である必要はない、と読みます。
・公正証書に限られるのは事業用定期借地権だけ。定期借家と混同させる引っかけが頻出です。
オ × 誤り
・中途解約ができるのは、居住用・床面積200㎡未満・転勤や療養、親族の介護などのやむを得ない事情の3つがそろった場合に限られます。
・更新がない代わりに期間中はまったく動けない、では借主に酷な場面があるため、生活上やむを得ないときだけ抜け道を用意したものです。
・3つのどれかが欠ければ解約できず、事業用の建物では認められません。解約は申入れの日から1か月を経過することによって終了します。
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