出題の重要度 ★★★
「媒介契約書の記載事項」をわかりやすく解説

媒介契約書とは?
・宅建業者は、売買又は交換の媒介契約を結んだときは、遅滞なく一定事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者に交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項)。
| 項目 | 内容 |
| 対象となる契約 | 売買・交換の媒介と代理(貸借は対象外) |
| 作成の時期 | 遅滞なく |
| 記名押印する者 | 宅地建物取引業者(宅建士ではありません) |
| 交付する相手 | 依頼者 |
宅建業法が定める記載事項
・法律が定めている記載事項は次の7つです(宅建業法34条の2第1項1号〜7号)。
| 記載事項 |
| 物件を特定するために必要な表示(所在・地番、建物なら種類・構造など) |
| 売買すべき価額又はその評価額 |
| 他の業者に重ねて依頼することの許否、許す場合の明示義務の存否 |
| 既存の建物のときは、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項 |
| 有効期間及び解除に関する事項 |
| 指定流通機構への登録に関する事項 |
| 報酬に関する事項 |
【補足】「建物状況調査を実施する者のあっせん」は、既存の建物のときに書きます。あっせんをするかしないかを書けばよく、必ずあっせんしなければならないという意味ではありません。

省令が定める記載事項
・これに加えて、国土交通省令・内閣府令が次の事項を定めています(施行規則15条の9)。
| 記載事項 | どの契約で書くか |
| 依頼者が他の業者の媒介・代理で契約を成立させたときの措置 | 専任媒介契約 |
| 依頼者が業者の探した相手方以外と契約したときの措置 | 専属専任媒介契約 |
| 明示していない他の業者の媒介・代理で契約を成立させたときの措置 | 明示義務のある一般媒介契約 |
| 標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別 | すべて |
価額について意見を述べるとき
・売買すべき価額や評価額について業者が意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません(宅建業法34条の2第2項)。
・根拠を示す方法に決まりはなく、口頭でも構いません。
【補足】価額は依頼者が決めるものです。業者はそこに意見を述べることができますが、根拠のない金額を示して依頼者を誤らせないよう、根拠の明示が義務づけられています。
交付を省けるか
・媒介契約書の交付は、相手が宅建業者であっても省略できません。
・ただし、依頼者の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法で提供することができます(宅建業法34条の2第11項)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 媒介契約書には、宅建士が記名押印する。 |
| イ | 建物の貸借の媒介でも、媒介契約書を交付する。 |
| ウ | 媒介契約書には、報酬に関する事項を書く。 |
| エ | 価額に意見を述べるときは、根拠を示す。 |
| オ | 依頼者が承諾すれば、書面に代えて電子データで渡せる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | × | ○ | ○ | ○ |
ア × 誤り
・誤りです。正しくは、媒介契約書に記名押印するのは宅地建物取引業者です(宅建業法34条の2第1項)。
・宅建士が記名するのは35条書面と37条書面です。書面ごとに担当が違うと整理しましょう。
・「宅建士」と書かれていたら、まず媒介契約書かどうかを確かめるのが近道です。
イ × 誤り
・誤りです。正しくは、媒介契約書の作成・交付が必要なのは売買・交換の媒介と代理だけです。
・貸借の媒介には交付義務がなく、有効期間の制限やレインズへの登録義務も適用されません。
・「貸借」という言葉が出てきたら、媒介契約の規制からいったん外れると考えましょう。
ウ ○ 正しい
・報酬に関する事項は法定の記載事項です(34条の2第1項7号)。あとで揉めやすいところだからです。
・ほかに、物件の表示、価額、重ねての依頼の許否、有効期間と解除、レインズへの登録なども書きます。
・報酬の「額」そのものではなく、報酬に関する取り決めを書くという趣旨です。
エ ○ 正しい
・売買すべき価額や評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません(34条の2第2項)。
・根拠のない金額で依頼者の判断を誤らせないための義務です。価額を決めるのはあくまで依頼者です。
・根拠を示す方法に決まりはなく、口頭でも構いません。「書面で」とあれば誤りです。
オ ○ 正しい
・依頼者の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法で提供できます(34条の2第11項)。
・この場合、記名押印に代わる措置を講じたうえで提供すれば、交付したものとみなされます。
・承諾なしに電子データで済ませることはできません。省けるのは紙かどうかだけです。
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