「事後届出(第23条の届出)」をわかりやすく解説
事後届出(第23条の届出)とは?
・事後届出とは、一定の土地の売買契約や土地の賃貸借契約などにより権利を取得した者が、契約締結後2週間以内に都道府県知事等に行う届出のこと。事後届出は、「第23条の届出」ともいいます。
・事後届出では土地が適正に利用されるように、「土地の利用目的が適切か否か」が審査されます。
・事後届出は、注視区域・監視区域・規制区域以外のすべて地域(この記事では以下「事後届出が必要な区域」とする)で行う必要があります。
事後届出(第23条の届出)が必要な場合
・事後届出は、①事後届出が必要な種類の契約であって、②面積要件を満たす土地の売買・賃貸などの契約で必要となります。
①事後届出が必要な種類の契約
・土地に関する権利の移転または設定の契約で、対価の授受があるものは届出が必要です。
・以下に挙げるものが、事後届出の必要となる主な契約です。
- 売買(予約を含む)、交換
- 譲渡担保、代物弁済
- 形成権の譲渡
- 一時金の授受がある地上権、賃借権の設定
・抵当権の設定は、事後届出が不要となるので注意しましょう。
②面積要件
・以下の面積以上の土地の売買や賃貸は事後届出の対象となります。
- 市街化区域:2,000㎡
- 市街化調整区域と非線引き区域:5,000㎡
- 都市計画区域外:10,000㎡
・土地の面積は、権利取得者が取得したり賃借したりすることとなる面積で判断します。
・例えばAが所有する市街化区域の土地(3000㎡)をBCDにそれぞれ1000㎡ずつ売る場合、BCDの取得する1000㎡は2,000㎡未満であるため、事後届出は不要となります。
・面積要件を満たしていない土地の売買契約や土地の賃貸借契約の場合であっても、権利取得者が物理的・計画的一体性をもって取引する場合には、事後届出が必要となります。
・例えば、Eがマンションを建てるための土地を集めるために、土地を4人から300㎡ずつ購入した場合、Eは事後届出を行う必要があります。
事後届出(第23条の届出)が不要な場合
・事後届出が不要な場合は、以下のものなどが挙げられます。
事後届出(第23条の届出)の方法
・「事後届出が必要な区域」で土地の売買や賃貸などで権利を取得した者は、契約を締結した日から起算して2週間以内に市町村長を経由して都道府県知事等に届け出る必要があります。
・事後届出では、契約の年月日、土地の利用目的、土地に関する権利の移転又は設定の対価の額などの事項を届け出る必要があります。
事後届出(第23条の届出)の審査
・事後届出で審査の対象となるのは、土地の利用目的のみですが、土地に関する権利の移転又は設定の対価の額や面積等の事項も届け出る必要はあります。
・事後届出の内容に変更があっても、再度届け出る必要はありません。
助言・勧告
助言
・都道府県知事等は、届出を行った者に対し、土地の利用目的に関して、適正かつ合理的な土地利用を図るために必要な助言をすることができます。
勧告
・都道府県知事等は、土地の利用目的が不適切であると考えられる場合には、土地利用審査会の意見を聞いて、届出があった日から起算して3週間以内に勧告をします。都道府県知事等から「勧告をしない」という通知はありません。
・勧告は基本的に3週間以内に行われますが、調査に時間がかかるなどの事情がある場合には、3週間以上かかる場合があります。
・都道府県知事等は、勧告を受けた者に対し、勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができます。
・都道府県知事等は、勧告に基づいて土地の利用目的が変更された場合、土地に関する権利の処分についてのあっせん(買い手の紹介などをすること)などの措置を講ずるよう努めなければなりません。
契約の効果と罰則
・都道府県知事等からの助言に従わない場合であっても、契約は有効で、罰則もありません。
・事後届出をした者が勧告に従わない場合も、契約は有効で、罰則もありません。一方で、都道府県知事等は、勧告に従わない旨や勧告内容を公表することができます。
・事後届出における契約の効果と罰則
契約の効果 | 罰則の適用の有無 | |
事後届出をしなかった場合 | 有効 | あり |
勧告に従わなかった場合
(勧告があった場合) |
有効 | なし(勧告内容などが公表される場合あり) |