「監視区域」をわかりやすく解説
監視区域とは?
・監視区域とは、土地の適正な利用と地価の上昇防止のため、一定の土地の売買契約や土地の賃貸借契約などの両当事者が、契約前に都道府県知事等に届け出ることを必要としている区域のこと。
監視区域と他の区域の違い
・監視区域と注視区域はほぼ同じですが、規制の厳しさが注視区域よりも強くなっているという違いがあります。注視区域と事前届出が必要な土地の面積や審査される項目が異なるため、両区域の違いに注意しましょう。
監視区域の指定
・監視区域は、都道府県知事等が土地利用審査会の意見を聞いて指定します。ただし、監視区域は規制区域以外の区域で指定されます。
・監視区域は5年以内の期限を定めて指定され、再指定を行うことができます。
・国土利用計画法第二十七条の六では、監視区域の指定について以下のように規定されています。
都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域(第十二条第一項の規定により規制区域として指定された区域を除く。)を、期間を定めて、監視区域として指定することができる。
監視区域において事前届出が必要な場合
・監視区域における事前届出は、①事前届出が必要な種類の契約であって、②一定の面積以上の土地の売買・賃貸などの契約で必要となります。
①事前届出が必要な種類の契約
・監視区域において、土地に関する権利の移転または設定の契約で、対価の授受があるものは事前届出が必要です。
・以下に挙げるものが、監視区域において事前届出の必要となる主な契約です。
- 売買(予約を含む)、交換
- 譲渡担保、代物弁済
- 形成権の譲渡
- 一時金の授受がある地上権、賃借権の設定
・抵当権の設定は、事前届出が不要となりますので注意しましょう。
②面積要件
・監視区域において事前届出は、都道府県知事等が都道府県の規則で定めた面積以上の土地の売買契約や土地の賃貸借契約で必要となります。
・土地の面積は、契約の両当事者の面積で判断します。
・面積要件を満たしていない土地の売買契約や土地の賃貸借契約の場合であっても、当事者の一方が物理的・計画的一体性をもって取引する場合には、事前届出が必要となります。
監視区域において事前届出が不要な場合
・監視区域における事前届出が不要な場合は、以下のものなどが挙げられます。
- 契約の当事者の一方または双方が国や地方公共団体の場合
- 農地法第3条1項の許可があった場合
- 民事調停法の調停に関する場合
- 遊休土地を買い取る場合
監視区域における事前届出の方法
・監視区域で土地の売買や賃貸などをする両当事者は、契約を締結する前に市町村長を経由して都道府県知事等に届け出る必要があります。
・監視区域における事前届出では、契約の年月日、土地の利用目的、土地に関する権利の移転又は設定の対価の額などの事項を届け出る必要があります。
・監視区域における事前届出の内容に変更があった場合、土地に関する権利の移転又は設定の対価の額を減額する場合以外は、再度届け出る必要があります。
監視区域における事前届出の審査
・監視区域における事前届出では、土地の利用目的及び土地に関する権利の移転又は設定の対価の額、土地に関する権利の移転が投機的取引か否かが審査の対象になります。
監視区域における勧告
・都道府県知事等は、土地の利用目的または土地に関する権利の移転又は設定の対価の額が不適切であると考えられる場合、土地利用審査会の意見を聞いて、届出があった日から起算して6週間以内に勧告又は不勧告の通知をします。
・監視区域において都道府県知事等は、勧告を受けた者に対し、勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができます。
・監視区域において都道府県知事等は、勧告に基づいて土地売買等の契約の締結が中止された場合、土地に関する権利の処分についてのあっせん(買い手の紹介などをすること)などの措置を講ずるよう努めなければなりません。
監視区域における契約の効果と罰則
・監視区域において事前届出をした者が勧告に従わない場合も、契約は有効で、罰則もありません。一方で、都道府県知事等は、勧告に従わない旨や勧告内容を公表することができます。
契約の効果 | 罰則の適用の有無 | |
事前届出をしなかった場合 | 有効 | あり |
勧告に従わなかった場合
(勧告があった場合) |
有効 | なし(勧告内容などが公表される場合あり) |
勧告・不勧告の処分前に
契約した場合 |
有効 | あり |