出題の重要度 ★★☆
「帳簿」をわかりやすく解説

帳簿とは?
・帳簿とは、宅地建物取引業者が事務所ごとに備え、取引のあったつど記載しなければならない業務に関する帳簿のこと(宅建業法49条)。
宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあつたつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
【補足】備え付けるのは事務所ごとです。案内所等の規制には帳簿を備える必要がありません。
帳簿に記載する事項
・記載しなければならない事項は、法律と施行規則18条1項で次のように定められています。
| 記載事項 | 備考 |
| 取引のあった年月日 | 取引ごとに記載する |
| 宅地又は建物の所在及び面積 | 取引の対象になった物件 |
| 売買・交換・代理・媒介の別 | どの立場で関わったか |
| 当事者や代理人の氏名及び住所 | 相手方・依頼者など |
| 関与した他の宅地建物取引業者の商号又は名称 | 共同で仲介した場合など |
| 売買金額・交換差金・賃料 | 取引の金額 |
| 報酬の額 | 実際に受け取った報酬 |
【補足】自ら売主となる新築住宅の場合は、引き渡した年月日や床面積なども記載します。

保存期間は閉鎖後5年間
・帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければなりません(施行規則18条3項)。
・ただし、その業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間保存します。
| 書類 | 保存期間 |
| 帳簿 | 閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅は10年間) |
| 従業者名簿 | 最終の記載をした日から10年間 |
【補足】帳簿の内容がパソコンなどに記録され、必要に応じてその事務所で紙面に表示できるときは、その記録をもって記載に代えることができます。
閲覧させる義務はない
・帳簿には、取引の関係者に閲覧させる義務がありません。
| 書類 | 閲覧させる義務 |
| 帳簿 | ない |
| 従業者名簿 | ある(取引の関係者から請求があったとき) |
【補足】「取引の関係者から請求があれば帳簿を閲覧させなければならない」は誤りです。閲覧義務があるのは従業者名簿だけです。
備えなかったときは
・帳簿を備えず、記載せず、また虚偽の記載をした業者は、50万円以下の罰金に処せられます(法83条1項4号)。
・指示処分や業務停止処分といった監督処分の対象にもなります。
・事務所に備えるものの全体像は事務所に備え付けるもので確認してください。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 帳簿は、事務所ごとに備えなければならない。 |
| イ | 取引があったときは、月末にまとめて記載すればよい。 |
| ウ | 帳簿には、報酬の額も記載する。 |
| エ | 帳簿は、閉鎖後10年間保存しなければならない。 |
| オ | 取引の関係者から請求があれば、帳簿を閲覧させなければならない。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | × |
ア ○ 正しい
・・帳簿は事務所ごとに備えます(宅建業法49条)。会社全体で1冊にまとめておけばよいものではありません。
・取引の記録は事務所単位で管理させることで、そこで何が行われたかを後から追えるようにする趣旨です。
・案内所等には帳簿を備える必要がありません。案内所に必要なのは標識と、契約をする場所なら専任の宅建士や届出です。
イ × 誤り
・・記載するのは取引のあったつどです。月末や決算期にまとめて書くことは認められません。
・条文が「取引のあつたつど」と定めており、後からまとめて書くと記録の正確さが失われるためです。
・「一括して記載できる」という趣旨の選択肢は誤りだと判断できるようにしておきましょう。
ウ ○ 正しい
・・報酬の額は記載事項です(施行規則18条1項7号)。取引の相手方や代理人の氏名・住所も記載します。
・実際にいくら受け取ったかを残させることで、報酬の上限規制が守られているかを確かめられるようにしています。
・報酬額や住所まで載る書類なので、閲覧させる義務はありません。閲覧義務があるのは従業者名簿だけです。
エ × 誤り
・・原則は閉鎖後5年間です(施行規則18条3項)。各事業年度の末日で閉鎖し、そこから5年間保存します。
・10年になるのは、その業者が自ら売主となる新築住宅に係るものだけという例外です。
・従業者名簿が最終記載から10年なので、帳簿は5年・名簿は10年、と対にして覚えると数字の入れ替えに引っかかりません。
オ × 誤り
・・帳簿に閲覧させる義務はありません。閲覧の請求に応じる義務があるのは従業者名簿のほうです(法48条4項)。
・帳簿には取引金額・報酬額・当事者の住所まで書かれており、他人に見せる性質のものではないためです。
・事務所に置くもののうち、掲示するのは標識と報酬額、閲覧させるのは従業者名簿、備えるだけでよいのが帳簿、と役割で整理しておきましょう。
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