出題の重要度 ★★★
「借地権の対抗力」をわかりやすく解説

借地権の対抗力とは?
・借地権の対抗力とは、土地を買った第三者に対しても借地権を主張できることをいいます(借地借家法10条1項)。
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
なぜ建物の登記でよいのか
・借地権の登記には土地の所有者の協力が必要で、貸主が応じてくれないと借主は登記できません。
| 登記の種類 | 誰の協力が必要か | 対抗力 |
| 借地権(賃借権)の登記 | 土地の所有者の協力が必要 | 対抗できる(実際にはまれ) |
| 借地上の建物の登記 | 借地権者が単独でできる | 対抗できる |
【補足】建物は借地権者自身の持ち物なので、貸主の協力がなくても登記できます。だから建物の登記で足りるとされました。

登記の名義は借地権者本人
・建物の登記は借地権者本人の名義でなければなりません(判例)。
| 登記の名義 | 対抗力 |
| 借地権者本人 | 対抗できる |
| 配偶者や子の名義 | 対抗できない |
| 同居していない他人の名義 | 対抗できない |
登記の種類は問わない
・建物の登記は、権利に関する登記でなくても、表示に関する登記で足ります(判例)。
| 登記 | 対抗力 |
| 所有権の保存登記 | 対抗できる |
| 表示に関する登記(表題登記) | 対抗できる |
| まったく登記がない | 対抗できない |
【補足】表示に関する登記でも所有者の氏名は記録されるので、誰が建物の持ち主かは分かります。公示の役目は果たせるという理由です。
建物が滅失したとき
・建物が滅失しても、一定事項を土地の見やすい場所に掲示すれば、対抗力は維持されます(法10条2項)。
| 項目 | 内容 |
| 掲示する事項 | 建物を特定するために必要な事項・滅失があった日・建物を新たに築造する旨 |
| 維持される期間 | 滅失の日から2年間 |
| 2年経過後 | その前に建物を再築し、かつ登記した場合に限り対抗できる |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 借地権は、その登記がなければ第三者に対抗できない。 |
| イ | 借地上の建物が子の名義で登記されていても、対抗できる。 |
| ウ | 建物の登記は、表示に関する登記でもよい。 |
| エ | 建物が滅失すると、借地権は直ちに対抗力を失う。 |
| オ | 掲示による対抗力は、滅失の日から2年間維持される。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | × | ○ | × | ○ |
ア × 誤り
・正しくは、借地上の建物の登記があれば、借地権の登記がなくても対抗できます(法10条1項)。
・借地権の登記には土地所有者の協力が必要で、借主だけでは登記できないためです。
・「借地権の登記が必要」は誤り。建物の登記で足りるのがこの条文の要点です。
イ × 誤り
・正しくは、借地権者本人の名義でなければ対抗できません(判例)。
・名義が違うと、土地を買おうとする第三者から見て誰が借地権者か分かりません。
・配偶者や子の名義でも対抗できないのが定番の引っかけです。
ウ ○ 正しい
・表示に関する登記でも対抗力が認められます(判例)。
・表示に関する登記でも所有者の氏名は記録されるので、公示の役目を果たせるからです。
・「所有権の保存登記でなければならない」という選択肢は誤りになります。
エ × 誤り
・正しくは、一定事項を土地の見やすい場所に掲示すれば対抗力が維持されます(法10条2項)。
・掲示するのは、建物を特定する事項・滅失の日・新たに築造する旨の3つです。
・「直ちに失う」は誤り。掲示という救済手段が用意されています。
オ ○ 正しい
・維持されるのは滅失の日から2年間です(法10条2項ただし書)。
・2年を過ぎた後は、その前に建物を再築し、かつ登記していた場合に限り対抗できます。
・掲示はあくまで建て直すまでのつなぎです。3年・5年としたひっかけに注意しましょう。
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