出題の重要度 ★★★
「宅地建物取引士の3つの独占事務」をわかりやすく解説

独占事務とは?
・宅地建物取引士の独占事務とは、宅地建物取引士でなければ行うことができない事務のこと。次の3つです。
| 独占事務 | 根拠 |
| ① 重要事項の説明 | 法35条1項 |
| ② 35条書面への記名 | 法35条5項 |
| ③ 37条書面への記名 | 法37条3項 |
① 重要事項の説明
・宅建業者は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして重要事項を説明させなければなりません(法35条1項)。
宅地建物取引業者は、…その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面…を交付して説明をさせなければならない。
【補足】説明する宅建士は専任の宅地建物取引士でなくてもかまいません。宅建士であれば足ります。また、説明のときは請求がなくても取引士証を提示します(法35条4項)。

② 35条書面への記名
・35条書面には、宅地建物取引士が記名しなければなりません(法35条5項)。
| 項目 | 内容 |
| 記名する人 | 宅地建物取引士(専任である必要はない) |
| 説明する人 | 宅地建物取引士(記名した者と同一人でなくてもよい) |
| 押印 | 不要(令和4年の改正で押印義務は廃止) |
③ 37条書面への記名
・37条書面にも、宅地建物取引士の記名が必要です(法37条3項)。
| 比べる点 | 35条書面 | 37条書面 |
| 宅建士の説明 | 必要 | 不要 |
| 宅建士の記名 | 必要 | 必要 |
| 取引士証の提示 | 必要 | 不要 |
| 交付する相手 | 借主・買主など | 契約の当事者 |
【補足】37条書面は契約の内容を書き残す書面なので、説明までは求められていません。記名だけが宅建士の仕事です。
宅建士でなくてもできること
・次の行為は、宅建士でない従業者でも行うことができます。
| 行為 | 宅建士でなければならないか |
| 35条書面・37条書面を相手方に交付すること | 宅建士でなくてもよい |
| 媒介契約書面への記名押印 | 宅建業者が行う(宅建士ではない) |
| 契約の勧誘・案内・広告 | 宅建士でなくてもよい |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 重要事項の説明は、宅建士でなければできない。 |
| イ | 37条書面は、宅建士が内容を説明しなければならない。 |
| ウ | 35条書面には、宅建士の記名が必要である。 |
| エ | 媒介契約書面には、宅建士の記名が必要である。 |
| オ | 35条書面を相手方に手渡すのは、宅建士でなくてもよい。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・重要事項の説明は宅地建物取引士の独占事務です(法35条1項)。
・説明する宅建士は専任の宅建士である必要はありません。宅建士であれば足ります。
・独占事務は「35条の説明」「35条書面の記名」「37条書面の記名」の3つだけです。
イ × 誤り
・正しくは、37条書面に必要なのは宅建士の記名だけで、説明義務はありません(法37条3項)。
・説明が要るのは35条書面(重要事項の説明)のほうです。
・「37条=記名だけ」「35条=説明も記名も」と対で覚えると混同しません。
ウ ○ 正しい
・宅地建物取引士が記名しなければなりません(法35条5項)。
・押印は令和4年の改正で不要になりました。「記名押印」と書かれていたら現行法では誤りです。
・記名する宅建士と説明する宅建士は同じ人でなくてもかまいません。
エ × 誤り
・正しくは、媒介契約書面に記名押印するのは宅地建物取引業者です(法34条の2第1項)。
・媒介契約は業者と依頼者の契約なので、宅建士は登場しません。
・「宅建士の記名が必要な書面」は35条書面と37条書面の2つだけです。
オ ○ 正しい
・交付そのものは宅建士でなくてもできます。独占事務は説明と記名だからです。
・書面を交付する義務を負っているのは宅建業者であり、宅建士ではありません。
・「交付」と「説明」を混ぜた選択肢が出ます。何が独占事務かで切り分けましょう。
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