出題の重要度 ★★★
「同時履行の抗弁権」をわかりやすく解説

同時履行の抗弁権とは?
・同時履行の抗弁権とは、双務契約の当事者の一方が、相手方が債務の履行を提供するまで、自己の債務の履行を拒むことができる権利です(民法533条)。
・たとえば土地の売買では、買主が代金を用意して支払おうとするまで、売主は土地の引渡しを拒めます。
・ただし、相手方の債務がまだ弁済期にないときは、同時履行の抗弁権を主張できません(533条ただし書)。
同時履行の抗弁権の効果
・同時履行の抗弁権を持っている間は、履行しなくても履行遅滞の責任を負いません(債務不履行にならない)。
・そのため、相手方は自分の履行を提供しなければ、相手を履行遅滞に陥らせることができません。
・たとえば売主が引渡しを準備せずに「代金を払え」と請求しても、買主は同時履行の抗弁権で支払いを拒めます。
【補足】相手方が現実に履行を提供すると、抗弁権は消滅し、以後は履行しないと履行遅滞になります。

同時履行になるもの・ならないもの
・同時履行の関係になるかどうかは、宅建でくり返し問われます。
| 同時履行になる(拒める) | 同時履行にならない(先に一方が履行) |
| 売買代金の支払と目的物の引渡し | 建物の明渡しと敷金の返還(明渡しが先) |
| 契約解除による双方の原状回復義務 | 債務の弁済と抵当権の登記抹消(弁済が先) |
| 弁済と受取証書(領収書)の交付 | 造作買取代金の支払と建物の明渡し |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 双務契約の当事者は、相手が履行を提供するまで自分の債務の履行を拒める。 |
| イ | 相手方の債務がまだ弁済期にないときも、同時履行の抗弁権を主張できる。 |
| ウ | 同時履行の抗弁権があるうちは、履行しなくても履行遅滞の責任を負わない。 |
| エ | 建物の明渡し債務と敷金の返還債務は、同時履行の関係に立つ。 |
| オ | 契約が解除された場合、当事者双方の原状回復義務は同時履行の関係に立つ。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・・これが同時履行の抗弁権です(533条)。
・双務契約であることが前提です。
・売買の代金と引渡しが典型例です。
イ × 誤り
・・相手の債務が弁済期にないときは主張できません(533条ただし書)。
・自分が先に履行すべき場合は拒めません。
・「弁済期にない」がひっかけポイントです。
ウ ○ 正しい
・・抗弁権がある間は履行遅滞にならず、債務不履行の責任を負いません。
・相手は自分が履行を提供しないと相手を遅滞にできません。
・これが抗弁権の主な効果です。
エ × 誤り
・・敷金は明渡しが先で、同時履行になりません。
・明け渡してから敷金が返還されます。
・同時履行にならない典型例です。
オ ○ 正しい
・・解除による原状回復義務は同時履行の関係に立ちます(546条)。
・受け取った物やお金を互いに返し合います。
・「解除の原状回復は同時履行」と押さえましょう。
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