出題の重要度 ★★★
「抵当権」をわかりやすく解説

抵当権とは?
・抵当権とは、お金を貸した人(抵当権者)が、債務者などの不動産を占有しないまま担保にとり、弁済がなければその不動産を競売にかけて代金から優先的に弁済を受けられる権利です(民法369条)。
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
・条文が「債務者又は第三者」と定めているとおり、抵当権を設定するのは債務者本人でなくてもかまいません。他人の借金のために自分の不動産を担保に出す人を物上保証人といいます。
抵当権の目的にできるもの
・抵当権の目的にできるのは、次のものです。
| 目的にできる | 内容 |
| 不動産 | 土地・建物 |
| 地上権 | 他人の土地を使う権利 |
| 永小作権 | 他人の土地で耕作・牧畜をする権利 |
・地上権や永小作権は、他人の土地を利用する権利ですが、財産的な価値があるので抵当権の目的にできます。
【補足】自動車や機械などの動産は、原則として抵当権の目的にできません。

抵当権の順位
・同じ不動産に複数の抵当権を設定できます。その順位は登記の前後で決まります(民法373条)。先に登記したものが1番抵当権です。
・競売の代金は、まず1番抵当権者に配当され、余りがあれば2番抵当権者へと、順位の順に配当されます。
・順位は、各抵当権者の合意で変更できますが、登記をしなければ効力を生じません(民法374条)。
優先弁済を受けられる利息の範囲
・抵当権で優先弁済を受けられる利息その他の定期金は、満期となった最後の2年分に限られます(民法375条)。
・利息が何年も積み上がると、後順位の抵当権者や他の債権者に回るはずの財産が減ってしまいます。そこで、優先できる利息を2年分だけに区切っているのです。
・元本そのものは、この制限を受けず全額が優先弁済の対象になります。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 抵当権を設定すると、担保にした家に住み続けられない。 |
| イ | 同じ不動産の抵当権の順位は、登記の早い方が優先する。 |
| ウ | 抵当権の順位は、当事者が勝手に自分だけで変えられる。 |
| エ | 土地や建物だけでなく、地上権も抵当権の目的にできる。 |
| オ | 利息は、何年分でも優先弁済を受けられる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | ○ | × | ○ | × |
ア × 誤り
・住み続けられます。抵当権は占有を移さない担保物権で、設定者は目的物をそのまま使い続けられます(369条)。
・目的物を債権者に引き渡す質権との一番の違いがここです。
・住宅ローンで自宅に住み続けられるのも、この性質によるものだと考えると覚えやすいです。
イ ○ 正しい
・そのとおり。同一の不動産に複数の抵当権があるとき、順位は登記の前後で決まります(373条)。
・先に登記したものが1番抵当権となり、優先して弁済を受けられます。
・契約日の早い遅いではなく、あくまで登記の順である点が引っかけになります。
ウ × 誤り
・変えられません。順位の変更には各抵当権者の合意が必要で、さらに登記をしなければ効力を生じません(374条)。
・一部の当事者だけで動かせるものではなく、利害関係人がいればその承諾も要ります。
・合意だけでは足りず登記まで必要、という二段構えが狙われます。
エ ○ 正しい
・できます。不動産のほか地上権と永小作権も抵当権の目的にできます(369条2項)。
・土地を利用する物権で財産的価値があるためです。動産は原則として目的にできません。
・「不動産+地上権+永小作権」の3つをセットで押さえましょう。
オ × 誤り
・最後の2年分までです。利息その他の定期金は、満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使できます(375条)。
・後順位の抵当権者や他の債権者が受け取る分を確保し、これらの者を保護するための制限です。
・元本には制限がなく、あくまで利息・遅延損害金の話である点に注意しましょう。
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