出題の重要度 ★★☆
「営業保証金の取戻し」をわかりやすく解説

営業保証金の取戻しとは?
・営業保証金の取戻しとは、営業保証金を供託していた業者が、供託所から営業保証金を返してもらうこと(宅建業法30条)。
・営業保証金は、取引の相手方が損害を受けたときの備えとして預けているお金です。備えが不要になったときにはじめて返してもらえます。
取り戻せるのはどんなときか
・次のような場合に、営業保証金を取り戻すことができます。
| 場面 | 取り戻せる額 |
| 免許の有効期間が満了した | 全額 |
| 廃業等の届出をした・死亡した | 全額 |
| 免許を取り消された | 全額 |
| 一部の事務所を廃止した | 超過することとなった額 |
| 宅地建物取引業保証協会の社員になった | 全額 |
【補足】免許を取り消されたときも取り戻せます。「取り消されると没収される」わけではありません。

原則として公告がいる
・取戻しは、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内に申出がなかった場合でなければすることができません(30条2項)。
前項の営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。
公告がいらない場合
・次の3つの場合は、公告をしないで取り戻せます。
| 場合 | 理由 |
| 保証協会の社員になった | 弁済業務保証金という別の備えに切り替わるため(法64条の14) |
| 本店移転で新たに供託し直した | 移転後の供託所に同額が積まれているため |
| 取戻し事由から10年が経過した | 権利が時効で消滅しているため(30条2項ただし書) |
【補足】一部の事務所を廃止して超過額を取り戻す場合は、営業を続けていても公告が必要です。ここはよく狙われます。
取戻しの手続で気をつけること
・公告をしたときは、遅滞なくその旨を免許権者に届け出ます。
・免許を取り消された業者でも、すでに結んだ契約の取引を結了させる範囲では宅建業者とみなされます(法76条)。この間はその取引に関しては業者として扱われます。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 免許を取り消されると、営業保証金は取り戻せない。 |
| イ | 取戻しの公告は、6か月を下らない期間で行う。 |
| ウ | 保証協会の社員になったときも、公告が必要である。 |
| エ | 事務所を一部廃止して超過した分は、取り戻せる。 |
| オ | 取戻し事由から10年たつと、公告なしで取り戻せる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| × | ○ | × | ○ | ○ |
ア × 誤り
・・正しくは取り戻すことができます(宅建業法30条1項)。免許取消しは取戻しの事由のひとつです。
・営業保証金は罰金ではなく取引の相手方のための備えなので、備えがいらなくなれば返してもらえます。
・ただし公告が必要です。「取り戻せない」ではなく「公告をしてから取り戻す」と押さえましょう。
イ ○ 正しい
・・そのとおりです。6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告します(30条2項)。
・還付を受けられる人が残っていないかを確かめてから返す、という順序にするための手続です。
・「3か月」「1年」と数字を入れ替える出題があります。6か月と覚えておきましょう。
ウ × 誤り
・・正しくは公告は必要ありません(法64条の14)。すぐに取り戻せます。
・営業保証金に代わって弁済業務保証金という別の備えができるため、待つ必要がないからです。
・公告がいらないのは「社員になったとき」「本店移転で供託し直したとき」「10年経過」の3つです。
エ ○ 正しい
・・そのとおりです。事務所を減らして供託額が政令で定める額を超えたときは、超過額を取り戻せます。
・供託する額は事務所の数で決まるため、事務所が減れば必要な額も減るからです。
・この場合も公告は必要です。営業を続けているから不要、とはなりません。
オ ○ 正しい
・・そのとおりです。取戻し事由が生じてから10年を経過したときは、公告をしないで取り戻せます(30条2項ただし書)。
・還付を請求する権利が時効で消滅しているため、申出を待つ意味がなくなるからです。
・「5年」と入れ替える出題に注意しましょう。10年です。
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