出題の重要度 ★★★
「損害賠償額の予定等の制限」をわかりやすく解説

損害賠償額の予定とは?
・損害賠償額の予定とは、債務不履行があったときに支払う賠償額を、あらかじめ契約で決めておくことです(民法420条)。
・予定を定めておくと、実際にいくら損をしたかを証明しなくても、その額を請求できます。もめごとが長引かないという利点があります。
合算して代金の2割まで
・宅建業者が自ら売主となる売買契約では、損害賠償額の予定と違約金を定めるとき、これらを合算した額が代金の10分の2を超える定めをしてはなりません(宅建業法38条1項)。
宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
・たとえば代金3000万円なら、予定額と違約金を合わせて600万円までです。「予定額600万円+違約金600万円」という定めはできません。

超えた部分だけが無効
・2割を超える定めをしてしまったときは、超える部分についてだけ無効になります(宅建業法38条2項)。
| 定めた額(代金3000万円) | 結論 |
| 合計600万円 | そのまま有効 |
| 合計900万円 | 600万円までが有効、300万円分が無効 |
| 定めを置かなかった | 実際に生じた損害額を請求できる |
定めを置かなかったとき
・損害賠償額の予定を定めなかった場合は、民法の原則に戻り、実際に生じた損害額を証明して請求することになります。
・このときの請求額は2割に縛られません。実損害が代金の3割にのぼるなら、3割の請求もできます。
【補足】38条が制限しているのは「あらかじめ額を決めておく約束」です。実損害の賠償請求そのものを2割に抑える規定ではありません。
手付の制限との違い
・38条と39条は、どちらも代金の2割が出てくるため混同しやすい規定です。
| 条文 | 内容 | 2割の意味 |
| 38条 | 損害賠償額の予定・違約金 | 合算して2割を超える定めができない |
| 39条 | 手付 | 2割を超える手付を受領できない |
【補足】どちらも8種制限なので、売主が宅建業者・買主が宅建業者でないときにだけ適用されます(宅建業法78条2項)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 損害賠償額の予定と違約金は、合算して2割までである。 |
| イ | 2割を超えて定めると、契約全体が無効になる。 |
| ウ | 予定を定めなかったときは、損害賠償を請求できない。 |
| エ | 予定を定めておけば、実際の損害額を証明しなくてよい。 |
| オ | 買主が宅建業者でも、この制限は適用される。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・そのとおりです。両方を定めるときは、合算した額が代金の10分の2を超える定めをしてはなりません(宅建業法38条1項)。
・別々に2割ずつではなく、合わせて2割という点が大切です。
・「それぞれ2割まで」と読ませる引っかけが出ます。「合算した額」という言葉を思い出しましょう。
イ × 誤り
・・誤りです。正しくは、2割を超える部分についてだけ無効になります(宅建業法38条2項)。
・契約そのものは有効に残るので、買主が住まいを失うことにはなりません。
・「特約全部が無効」「契約が無効」という言い回しはどちらも誤りです。
ウ × 誤り
・・誤りです。正しくは、実際に生じた損害額を証明して請求できます。
・38条は「あらかじめ額を決めておく約束」を制限する規定にすぎないからです。
・このときの請求は2割に縛られません。実損害が2割を超えるならその額を請求できます。
エ ○ 正しい
・・そのとおりです。損害賠償額の予定があれば、その額を当然に請求できます(民法420条)。
・いくら損をしたかの立証は難しいため、争いを避ける仕組みとして認められています。
・宅建業者が売主のときは、その予定額が2割を超えられない、という順番で理解しましょう。
オ × 誤り
・・誤りです。正しくは、宅建業者相互間の取引には適用されません(宅建業法78条2項)。
・8種制限は、取引に不慣れな買主を守るための規制だからです。
・手付の制限(39条)も同じ前提です。まず売主と買主の顔ぶれを確かめる癖をつけましょう。
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