出題の重要度 ★☆☆
「抵当権の処分・順位の譲渡」をわかりやすく解説

抵当権の処分とは?
・抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保にしたり、他の債権者のために抵当権や順位を譲渡・放棄したりできます(民法376条)。
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
転抵当
・転抵当とは、抵当権そのものを別の債権の担保に入れることです。抵当権者が、自分の抵当権を担保にお金を借りるイメージです。
・抵当権も財産的な価値を持つので、それをさらに担保として活用できる、というわけです。

譲渡・放棄と順位の譲渡・放棄
・処分は、相手が誰かで区別すると整理できます。
| 処分 | 相手 |
| 抵当権の譲渡・放棄 | 抵当権を持たない一般債権者 |
| 順位の譲渡・放棄 | 後順位の抵当権者 |
・「譲渡・放棄」は抵当権を持たない一般債権者のためにする処分、「順位の譲渡・放棄」は同じ不動産の後順位の抵当権者のためにする処分です。
【補足】「順位」とつくときの相手は後順位の抵当権者、と覚えると混同しません。
処分の対抗要件
・抵当権の処分を主たる債務者などに対抗するには、主たる債務者への通知またはその承諾が必要です(民法377条)。
・債権を譲るときと同じように、債務者にきちんと知らせる手続が求められる、ということです。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 抵当権者は、自分の抵当権を別の債権の担保にできる。 |
| イ | 抵当権の譲渡は、後順位の抵当権者に対してする処分だ。 |
| ウ | 順位の譲渡は、後順位の抵当権者を相手にする。 |
| エ | 抵当権の処分は、誰にも知らせずに当然に対抗できる。 |
| オ | 抵当権の放棄は、一般債権者のためにすることができる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・できます。抵当権そのものを他の債権の担保とすることを転抵当といいます(376条)。
・もとの抵当権は消えず、その上に重ねて担保を設定するイメージです。
・抵当権の処分には転抵当・譲渡・放棄・順位の譲渡・順位の放棄があり、その一つです。
イ × 誤り
・相手は一般債権者です。抵当権の譲渡・放棄は、抵当権を持たない無担保(一般)債権者を相手にします(376条)。
・後順位の抵当権者を相手にするのは「順位の」譲渡・放棄のほうです。
・「順位」が付くかどうかで相手が変わる、と区別して覚えましょう。
ウ ○ 正しい
・そのとおり。順位の譲渡・放棄は、同一債務者に対する後順位の抵当権者を相手にします(376条)。
・すでに抵当権を持つ者どうしで、配当の順位や取り分を融通し合う処分です。
・イと対で、「順位」の有無で相手(一般債権者か後順位抵当権者か)を判断します。
エ × 誤り
・対抗できません。抵当権の処分は、主たる債務者への通知またはその承諾がなければ対抗できません(377条)。
・債権譲渡(467条)と同じ対抗要件の仕組みが準用されています。
・「当然に」「知らせずに」対抗できるという表現は誤りだと見抜きましょう。
オ ○ 正しい
・できます。抵当権の放棄は、抵当権を持たない一般債権者の利益のためにできます(376条)。
・放棄した抵当権者と一般債権者は、優先関係なく債権額に応じて配当を分け合います。
・後順位抵当権者を相手にする「順位の放棄」とは、相手も効果も違います。
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