出題の重要度 ★★☆
「配偶者居住権」をわかりやすく解説

配偶者居住権とは
・配偶者居住権は、亡くなった人の建物に住んでいた配偶者が、その建物に無償で住み続けられる権利です(1028条〜、2020年施行)。
・所有権を得なくても住み続けられるので、配偶者は預貯金など他の財産も受け取りやすくなります。
成立の要件
・配偶者居住権が成立するには、次の両方が必要です。
| 成立の要件 |
| 相続開始のときに、その建物に居住していたこと |
| 遺産分割・遺贈・家庭裁判所の審判で取得したこと |
【補足】建物が、被相続人と配偶者以外の人との共有だった場合は成立しません。

存続期間は終身が原則
・存続期間は、原則として配偶者が亡くなるまで(終身)です(1030条)。
・遺産分割の協議や遺言で、期間を区切ることもできます。
権利の中身
・配偶者居住権は譲渡できません(1032条2項)。
・建物の増改築や第三者への賃貸には、所有者の承諾が必要です。
・所有者は登記を備えさせる義務を負い、登記すれば第三者に対抗できます(1031条)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 配偶者居住権は、配偶者が亡くなるまで続くのが原則である。 |
| イ | 配偶者居住権は、自由に他人へ譲渡できる。 |
| ウ | 相続開始のときに住んでいなくても、配偶者居住権を取得できる。 |
| エ | 配偶者は、建物を無償で使用できる。 |
| オ | 配偶者居住権は、登記すれば第三者に対抗できる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | ○ | ○ |
ア ○ 正しい
・正しい。配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身の間です(1030条)。
・遺産分割協議や遺言で「10年間」などと別の期間を定めれば、それに従います。
・何も定めなければ亡くなるまで住み続けられる、というのが原則です。
イ × 誤り
・誤り。配偶者居住権は譲渡できません(1032条2項)。正しくは他人に売ったり譲ったりできません。
・配偶者本人が住み続けられるよう認めた一身専属的な権利だからです。
・所有者の承諾があっても譲渡はできず、増改築や第三者への使用にも承諾が要ります。
ウ × 誤り
・誤り。相続開始の時に居住していたことが取得の要件です(1028条)。正しくは住んでいなければ取得できません。
・被相続人所有の建物に現に住んでいた配偶者を保護する制度だからです。
・別居していた配偶者は、この居住権を取得できません。
エ ○ 正しい
・正しい。配偶者は居住建物の全部を無償で使用・収益できます(1028条)。
・家賃を払う必要はなく、亡くなった配偶者と同じように住み続けられます。
・ただし固定資産税や通常の修繕費などの必要費は配偶者が負担します。
オ ○ 正しい
・正しい。配偶者居住権は登記を備えれば第三者に対抗できます(1031条)。
・建物の所有者には、配偶者に登記を備えさせる義務があります。
・借家権と違い占有だけでは対抗できず、登記が必要な点に注意しましょう。
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