出題の重要度 ★★☆
「遺産分割」をわかりやすく解説

遺産分割とは
・相続人が複数いると、遺産はいったん全員の共有になります。これを話し合いで具体的に分けるのが遺産分割です。
・分け方は法定相続分どおりでなくてもよく、相続人全員が合意すれば自由に決められます。
いつでも分割できる
・共同相続人は、いつでも協議で遺産の全部または一部を分割できます(907条)。
・ただし被相続人は遺言で、相続開始から5年を超えない期間、分割を禁止できます(908条)。
【補足】協議が調わないときは、各相続人が家庭裁判所に分割を請求できます。

効力は相続開始時にさかのぼる
・遺産分割は、相続開始のときにさかのぼって効力を生じます(909条)。
・分割で土地を取得した人は、相続開始のときから直接その土地を持っていたものとして扱われます。
さかのぼっても第三者は害せない
・遡及効があっても、分割前に現れた第三者の権利を害することはできません(909条ただし書)。
・たとえば分割前に相続分を差し押さえた債権者などは、遡及効では覆せません。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 共同相続人は、いつでも協議で遺産を分割できる。 |
| イ | 被相続人は、遺言で遺産分割を永久に禁止できる。 |
| ウ | 遺産分割の効力は、相続開始のときにさかのぼる。 |
| エ | 遡及効があるので、分割前に現れた第三者の権利も害せる。 |
| オ | 協議が調わないときは、家庭裁判所に分割を請求できる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・正しい。共同相続人は、遺言の禁止などがない限りいつでも協議で遺産を分割できます(907条1項)。
・分割の割合は法定相続分に縛られず、全員が合意すれば自由に決められます。
・協議には相続人全員が参加する必要があり、一人でも欠けた協議は無効になります。
イ × 誤り
・誤り。遺言で分割を禁止できるのは相続開始から5年を超えない期間までです(908条1項)。正しくは永久には禁止できません。
・「5年」という上限がある点が引っかけどころで、「永久」とあれば誤りと判断できます。
・共同相続人の契約による分割禁止も、原則5年以内です。
ウ ○ 正しい
・正しい。遺産分割の効力は相続開始の時にさかのぼって生じます(909条)。
・分割で財産を取得した相続人は、被相続人の死亡時から自分のものだった扱いになります。
・実際に協議がまとまるのが数年後でも、権利は死亡時にさかのぼる、というのがポイントです。
エ × 誤り
・誤り。遡及効があっても第三者の権利を害することはできません(909条ただし書)。正しくは第三者に対抗できません。
・分割前に相続人の一人から持分を買った第三者などを保護するための例外です。
・「さかのぼるが第三者は別」とただし書をセットで覚えましょう。
オ ○ 正しい
・正しい。協議が調わない・できないときは、各相続人が家庭裁判所に分割を請求できます(907条2項)。
・家裁ではまず調停、まとまらなければ審判という流れで分割が決められます。
・「もめたら家裁」が遺産分割のルートだと押さえておきましょう。
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