出題の重要度 ★★★
「報酬に関する制限(貸借)」をわかりやすく解説
貸借の報酬とは?
・宅地・建物の貸借の媒介・代理に関して受けられる報酬は、借賃の1か月分を基準に定められています。

貸借の媒介・代理の上限
| 区分 | 上限 |
| 貸借の媒介 | 依頼者の双方から受ける合計額が、借賃の1か月分の1.1倍以内 |
| 貸借の代理 | 借賃の1か月分の1.1倍以内 ※相手方からも受ける場合は、合計額が1.1倍を超えてはならない |
【補足】借賃は消費税等相当額を含まない金額で計算します。また、使用貸借の媒介の場合は「通常の借賃」を基準とします。

居住用建物の特則
・居住の用に供する建物の賃貸借の媒介では、依頼を受けるにあたって承諾を得ている場合を除き、依頼者の一方から受け取れるのは借賃1か月分の0.55倍までです。
・くわしくは「居住用建物の貸借の報酬」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
権利金の授受がある場合の特例
・居住用建物を除く宅地・建物の賃貸借で権利金(返還されない権利設定の対価)の授受があるときは、権利金の額を売買代金とみなして売買の計算式によることができます。
・くわしくは「権利金の授受がある場合の特例」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
長期の空家等の貸借の特例
・長く使われていない宅地・建物の貸借では、貸主と借主から受ける報酬の合計額を借賃1か月分の2.2倍まで受け取れます(令和6年7月1日から)。
・くわしくは「長期の空家等の貸借の特例」とは?わかりやすく解説をご覧ください。
免税事業者の場合
| 区分 | 上限 |
| 課税事業者 | 告示の計算額(本体)× 1.1 |
| 免税事業者 | 告示の計算額(本体)× 1.04 |
【補足】免税事業者が上乗せできる4%は、不動産業のみなし仕入率40%に消費税率10%を掛けた数値です。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 貸借の媒介で双方から受け取れる合計は、借賃1か月分の1.1倍までである。 |
| イ | 居住用建物の媒介では、承諾がなければ一方から借賃1か月分を受け取れる。 |
| ウ | 事業用建物なら、一方から多めに受け取っても合計が上限内ならよい。 |
| エ | 居住用建物の賃貸借でも、権利金を売買代金とみなして計算できる。 |
| オ | 免税事業者は、報酬に1.1倍を上乗せできる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | × |
ア ○ 正しい
・貸借の媒介で貸主・借主の双方から受け取れる合計額は、借賃1か月分の1.1倍(借賃1か月分+消費税)が上限です。
・売買のような「200万円以下は5.5%」といった区分計算はなく、借賃1か月分が唯一の基準になります。
・計算のもとになる借賃は消費税を含まない金額です。事業用建物の賃料には消費税がかかるので、税抜きに直してから計算します。
イ × 誤り
・居住用建物の賃貸借の媒介では、媒介の依頼を受けるにあたって承諾を得ていない限り、一方から受け取れるのは借賃1か月分の0.55倍(半月分+消費税)までです。
・承諾があれば、合計が1.1倍以内である限り一方から1.1倍まで受け取れます。
・承諾は依頼を受けるときに得ている必要があり、契約が成立した後で承諾をもらっても遅い、というのがよく問われる点です。
ウ ○ 正しい
・一方からの受領額を制限する特則は居住用建物だけのものです。事業用建物や宅地の貸借にはこの制限がありません。
・したがって合計が借賃1か月分の1.1倍以内であれば、貸主から全額を受け取っても構いません。
・「居住用かどうか」で結論が変わるので、問題文が建物の用途に触れているかを必ず確認しましょう。
エ × 誤り
・権利金を売買代金とみなして売買の計算式を使える特例は、居住用建物を除く宅地・建物の賃貸借に限られます。居住用建物では使えません。
・権利金とは、名義を問わず権利設定の対価として支払われ、返還されない金銭のことです。後で返ってくる敷金は含まれません。
・この特例を使うと借賃1か月分より高い上限になることがあり、高いほうを上限にできます。
オ × 誤り
・免税事業者が上乗せできるのは1.04倍までで、1.1倍ではありません。
・不動産業のみなし仕入率40%に消費税率10%を掛けた4%分だけ、仕入れにかかった消費税相当額として上乗せできる、という考え方によるものです。
・課税事業者は1.1倍、免税事業者は1.04倍。どちらの立場かを問題文から読み取る必要があります。
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