出題の重要度 ★★★
「居住用建物の貸借の報酬」をわかりやすく解説

居住用建物の貸借の報酬とは?
・宅地・建物の貸借の媒介で受け取れる報酬は、借賃の1か月分を基準に決められています。
・そのうち居住の用に供する建物、つまり人が住むための建物の賃貸借については、依頼者の一方から受け取れる額にさらに制限がかかります。
【補足】計算のもとになる借賃は消費税を含まない金額です。住宅の家賃はそもそも非課税ですが、事業用建物と混ざった問題で借賃に消費税が乗っていることがあります。
双方からの合計は借賃1か月分の1.1倍
・まず全体の枠を確認します。貸借の媒介で貸主と借主の双方から受け取れる合計額は、借賃1か月分の1.1倍以内です。
| 区分 | 上限 |
| 貸借の媒介 | 依頼者の双方から受ける合計額が借賃1か月分の1.1倍以内 |
| 貸借の代理 | 借賃1か月分の1.1倍以内(相手方からも受けるときは合計額で判定) |
・借賃が10万円なら、貸主と借主から受け取る合計が11万円まで、ということです。

一方から受け取れるのは0.55倍まで
・居住用建物の賃貸借の媒介では、依頼者の一方から受け取れる額は借賃1か月分の0.55倍(半月分+消費税)までです。
・借賃10万円なら、貸主から5万5000円、借主から5万5000円が上限になります。
【補足】この0.55倍の制限は媒介についてのものです。貸借の代理には、一方からの額を区切るこの制限はありません。
承諾があれば1.1倍まで受け取れる
・例外として、媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ているときは、一方から1.1倍まで受け取れます。
| 状況 | 一方から受け取れる上限 |
| 承諾を得ていない | 借賃1か月分の0.55倍まで |
| 承諾を得ている | 合計が1.1倍以内であれば、一方から1.1倍まで |
・借主の承諾があれば、借主から11万円を受け取り、貸主からは受け取らない、という形も可能です。
居住用でなければこの制限はない
・一方からの受領額を区切るこの特則は、居住用の建物だけのものです。
| 目的物 | 一方からの制限 |
| 居住用の建物 | あり(承諾がなければ0.55倍まで) |
| 事業用の建物 | なし(合計が1.1倍以内ならどちらから受けてもよい) |
| 宅地の貸借 | なし(同上) |
【補足】権利金の授受があるときに売買の計算式を使える特例も、居住用建物を除くものです。居住用建物は、報酬の場面ではいつも別扱いになると覚えておきましょう。
・貸借の報酬全体については報酬に関する制限(貸借)もあわせて確認してください。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 居住用建物の媒介で双方から受け取れる合計は、借賃1か月分の1.1倍までである。 |
| イ | 承諾がなければ、貸主から借賃1か月分を受け取れる。 |
| ウ | 承諾は、契約が成立した後にもらえばよい。 |
| エ | 事業用の建物には、一方からの制限はない。 |
| オ | 宅地の貸借にも、一方から0.55倍までの制限がある。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・そのとおりです。貸借の媒介で貸主・借主の双方から受け取れる合計額は、借賃1か月分の1.1倍が上限です。
・居住用かどうかにかかわらず、この合計の枠は共通です。居住用建物ではこれに一方の枠が加わります。
・借賃が10万円なら合計11万円まで、と数字に置き換えて確認する習慣をつけましょう。
イ × 誤り
・・誤りです。承諾を得ていないときに一方から受け取れるのは、借賃1か月分の0.55倍(半月分+消費税)までです。
・借賃10万円なら5万5000円が上限で、貸主から10万円や11万円を受け取ることはできません。
・「1か月分」と書かれていたら、それは合計の枠の数字です。一方の枠と取り違えさせるひっかけです。
ウ × 誤り
・・誤りです。承諾は媒介の依頼を受けるにあたって得ている必要があります。
・報酬をいくら負担するのかを、依頼するかどうかを決める前に知らせる趣旨だからです。
・「賃貸借契約の成立後に承諾を得た」という選択肢は誤りです。承諾の時期に必ず目を向けましょう。
エ ○ 正しい
・・そのとおりです。一方から0.55倍までとする特則は居住用の建物だけのものです。
・事業用建物や宅地の貸借では、合計が借賃1か月分の1.1倍以内であれば、貸主から全額を受け取っても構いません。
・問題文が建物の用途に触れているかどうかで結論が変わります。用途を必ず確認しましょう。
オ × 誤り
・・誤りです。宅地の貸借には一方からの制限はありません。合計が1.1倍以内であればよい、というだけです。
・この特則は「居住の用に供する建物」の賃貸借の媒介についてのものだからです。
・宅地は住むための土地であっても建物ではありません。「居住用=建物」と結び付けて覚えておきましょう。
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