出題の重要度 ★★☆
「担保物権の全体像」をわかりやすく解説

担保物権とは?
・担保物権とは、債権を確実に回収するために、特定の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられる物権です。
・お金を貸しても、相手にほかにも借金があると、財産を分け合うことになり全額は戻りません。担保物権があれば、決められた財産から他の債権者に先んじて回収できます。
法定担保物権と約定担保物権
・担保物権は、発生のしかたで2つに分かれます。
| 種類 | 発生のしかた | 例 |
| 法定担保物権 | 法律上当然に発生 | 留置権・先取特権 |
| 約定担保物権 | 当事者の契約で発生 | 質権・抵当権 |
・留置権と先取特権は、当事者が合意しなくても、一定の要件を満たせば法律上当然に発生します。

4つの担保物権
・担保物権は留置権・先取特権・質権・抵当権の4つです。それぞれの詳しい内容は、各記事で扱います。
・このうち抵当権と先取特権は占有を移さず、留置権と質権は物の占有を伴う点でも対比できます。
【補足】留置権と先取特権は契約なしで発生し、質権と抵当権は契約で設定します。
共通する4つの通有性
・担保物権には共通する性質(通有性)があります。
| 通有性 | 内容 |
| 付従性 | 債権がなければ担保も成立しない |
| 随伴性 | 債権が移れば担保も一緒に移る |
| 不可分性 | 全部の弁済まで目的物の全体に及ぶ |
| 物上代位性 | 売却代金・賃料などにも及ぶ |
・付従性と随伴性は「担保は債権に付いてくる」という性質、不可分性は「全部払うまで担保は解けない」という性質です。
・ただし留置権には物上代位性と優先弁済を受ける効力がありません。留置権は物を留め置いて支払を促すだけの権利だからです。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 留置権と先取特権は、法律上当然に発生する。 |
| イ | 質権と抵当権は、当事者の契約で発生する。 |
| ウ | 担保物権は、担保する債権がなくても単独で成立する。 |
| エ | 債権が譲渡されると、担保物権もそれについていく。 |
| オ | 留置権にも物上代位性がある。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・そのとおり。留置権と先取特権は法定担保物権で、要件を満たせば契約がなくても当然に発生します。
・留置権は295条、先取特権は303条など、法律の定めによって生じます。
・約定担保物権である質権・抵当権との対比で問われる、定番の分類です。
イ ○ 正しい
・そのとおり。質権と抵当権は約定担保物権で、当事者の設定契約によって発生します。
・当然発生ではなく合意が必要で、抵当権は登記、質権は引渡しで対抗力等を備えます。
・「法定=留置権・先取特権/約定=質権・抵当権」をセットで覚えましょう。
ウ × 誤り
・単独では成立しません。担保物権には付従性があり、被担保債権がなければ担保も成立しません。
・債権が弁済などで消滅すれば、担保物権も原則として消滅します。
・ただし根抵当権は確定前は付従性が緩和される、という例外があります。
エ ○ 正しい
・そのとおり。被担保債権が移転すると担保物権も一緒に移る随伴性があります。
・担保は債権の回収を確実にするためのものなので、債権と運命を共にします。
・担保だけを債権と切り離して譲渡することは、原則としてできません。
オ × 誤り
・ありません。留置権には物上代位性も優先弁済的効力もありません。
・留置権は物を留め置いて弁済を心理的に促す権利にとどまるからです。
・物上代位が認められるのは先取特権・質権・抵当権で、留置権だけ仲間外れと覚えましょう。
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