出題の重要度 ★☆☆
「先取特権」をわかりやすく解説

先取特権とは?
・先取特権とは、法律が定めた特定の債権を持つ人が、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられる法定担保物権です(民法303条)。
先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
3つの種類
・先取特権は、対象となる財産で3つに分かれます。
| 種類 | 対象 |
| 一般の先取特権 | 債務者の総財産(共益費用・雇用関係など) |
| 動産の先取特権 | 特定の動産(不動産の賃貸借・動産の売買など) |
| 不動産の先取特権 | 特定の不動産(保存・工事・売買) |
・たとえば給料をもらえていない従業員(雇用関係)は、勤め先の総財産から優先して回収できます。生活に直結する債権などが、特に手厚く保護されているわけです。

物上代位
・先取特権は、目的物の売却・賃貸・滅失・損傷で受ける代金などにも及びます(民法304条)。担保物権に共通する物上代位性です。
・ただし、その払渡しや引渡しの前に差押えをしなければなりません。金銭が債務者に渡ってしまう前に押さえる必要があります。
動産の第三取得者
・動産の先取特権は、その動産が第三取得者に引き渡された後は、行使できません(民法333条)。
【補足】引渡しで追及できなくなるので、取引の安全が守られます。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 先取特権は、当事者の契約がなくても法律上当然に発生する。 |
| イ | 先取特権には、一般・動産・不動産の3種類がある。 |
| ウ | 先取特権者は、他の債権者に優先して弁済を受けられる。 |
| エ | 動産が第三取得者に引き渡された後も、追及して行使できる。 |
| オ | 先取特権で物上代位するのに、差押えは一切いらない。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | ○ | × | × |
ア ○ 正しい
・そのとおり。先取特権は法定担保物権で、法律の定める債権について当然に発生します(303条)。
・当事者の設定契約は不要で、この点で質権・抵当権と異なります。
・給料債権など、特に保護すべき債権の回収を確実にするための制度です。
イ ○ 正しい
・そのとおり。対象となる財産により一般・動産・不動産の3つに分かれます。
・一般先取特権は債務者の総財産、動産・不動産の先取特権は特定の財産が対象です。
・一般の先取特権は共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給の4つが代表例です。
ウ ○ 正しい
・そのとおり。先取特権者は他の債権者に先立って弁済を受けられます(303条)。
・「先取」の名のとおり優先弁済を受けられる点が、優先弁済権のない留置権と大きく違います。
・公平や社会政策の観点から、特に保護すべき債権に認められています。
エ × 誤り
・行使できません。目的の動産が第三取得者に引き渡された後は、先取特権を行使できません(333条)。
・公示のない動産の先取特権を引渡し後も追及すると、取引の安全を害するからです。
・引渡しの前なら行使できるので、「引渡し後は追及できない」と押さえましょう。
オ × 誤り
・差押えが必要です。物上代位は、目的物から生じる金銭が払い渡される前に差押えをしなければなりません(304条)。
・誰に払うべきかを明確にし、第三者を保護するために差押えが求められます。
・払い渡された後では、もう物上代位できない点もあわせて押さえましょう。
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