出題の重要度 ★★☆
「長期の空家等の貸借の特例」をわかりやすく解説

長期の空家等の貸借の特例とは?
・長期の空家等の貸借の特例とは、長く使われていない宅地・建物の貸借の媒介・代理について、報酬の上限が借賃1か月分の2.2倍まで上がるという決まりのこと。
・報酬額を定めた国土交通大臣の告示(昭和45年建設省告示第1552号)に置かれており、令和6年7月1日から適用されています。
対象になる「長期の空家等」
・対象は、現に長期間にわたって居住・事業その他の用途に供されておらず、または将来にわたり供される見込みがない宅地・建物です。
・「空家」という名前ですが、建物だけでなく宅地も対象になります。
| 例 | 対象になるか |
| 何年も使われていない一戸建て | なる |
| 入居者を募集中の賃貸マンションの空室 | ならない |
| 長く使われていない店舗・倉庫 | なる |
【補足】空いていればよいのではなく、長期間使われていないことが必要です。募集中の空室は対象外です。

媒介の上限は借賃の2.2倍
・貸借の媒介では、貸主と借主から受ける報酬の合計額が借賃1か月分の2.2倍まで受け取れます。
・ただし、借主から受ける額は通常どおりの上限を超えられません(1.1倍以内、居住用建物で承諾がなければ0.55倍以内)。
・たとえば借賃10万円の空き家を媒介したとき、原則なら合計11万円までですが、この特例では合計22万円まで受け取れます。借主から1.1万円を受けたなら、貸主からは20.9万円まで、という計算です。
代理の場合
・貸借の代理でも、貸主である依頼者から借賃1か月分の2.2倍まで受け取れます。
・相手方からも報酬を受けるときは、合計で2.2倍を超えてはなりません。
【補足】この特例を使うには、契約を結ぶまでにあらかじめ貸主に報酬額を説明し、合意しておく必要があります。あとから請求することはできません。
低廉な空家等の売買の特例との違い
・空家等の特例は売買と貸借の2つがあります。混同しないよう整理しておきましょう。
| 特例 | 対象 | 上限 |
| 低廉な空家等(売買・交換) | 代金800万円以下 | 媒介33万円/代理はその2倍 |
| 長期の空家等(貸借) | 長期間使われていない宅地・建物 | 借賃1か月分の2.2倍 |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 長期の空家等の貸借では、合計で借賃の2.2倍まで受け取れる。 |
| イ | 借主から受け取る額も、2.2倍まで増やせる。 |
| ウ | この特例は、貸借の代理でも使える。 |
| エ | 募集中の賃貸マンションの空室も対象になる。 |
| オ | 特例を使うには、あらかじめ貸主の合意が必要である。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・・そのとおりです。貸主と借主から受ける報酬の合計額は借賃1か月分の2.2倍までです。
・借賃が安い空き家では報酬もわずかになり、業者が引き受けにくいことから設けられた特例です。
・原則の貸借の媒介は合計で1.1倍までです。上限が2倍になると押さえましょう。
イ × 誤り
・・正しくは借主から受ける額は通常どおりの上限までです(1.1倍以内、居住用で承諾がなければ0.55倍以内)。
・借主の負担を増やさずに、貸主から多めに受け取れるようにするのがこの特例のねらいだからです。
・「借主からも2.2倍受け取れる」とする選択肢は誤りです。増える相手は貸主だけです。
ウ ○ 正しい
・・そのとおりです。代理でも借賃1か月分の2.2倍まで受け取れます。
・媒介だけに限ると、代理を選んだ場合に同じ手間が報われないことになってしまうためです。
・相手方からも受けるときは、合計が2.2倍を超えてはいけません。
エ × 誤り
・・正しくは対象になりません。対象は長期間にわたって使われていない宅地・建物です。
・通常の賃貸物件の空室は、調査に特別な手間がかかるわけではないからです。
・「空いていれば対象」とする選択肢は誤りです。長期間使われていないことが必要です。
オ ○ 正しい
・・そのとおりです。契約を結ぶまでに報酬額を説明し、合意しておく必要があります。
・通常より高い報酬になるため、あとからのトラブルを防ぐ趣旨で求められている手続です。
・「あとから説明すればよい」「合意はいらない」とする選択肢は誤りです。
この記事の内容に誤りや分かりにくい点を見つけられましたら、こちらのフォームからお知らせください。該当記事は自動で入力されます。
