「土地鑑定委員会」をわかりやすく解説
土地鑑定委員会とは?
・土地鑑定委員会とは、適正な地価の形成のため、標準地の正常な価格を求めて公示する際に中心となる組織のこと。
土地鑑定委員会の仕事
・土地鑑定委員会の主な仕事は、①標準地の選定、②標準地の鑑定評価命令、③標準地の正常な価格の判定と公示、④書面と図面の送付です。
①標準地の選定
・土地鑑定委員会は、公示区域の中から正常な価格を求める地点として、標準地を選定します。
・標準地は、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定されます。
②標準地の鑑定評価命令
標準地の鑑定評価命令
・土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を求めるため、毎年2人以上の不動産鑑定士に標準地の鑑定評価を行うよう命じます。
標準地の鑑定評価
・標準地の正常な価格とは、建物等の定着物や土地の使用収益を制限する権利がない、更地としての価格をいいます。
・更地としての標準地の正常な価格は、具体的に以下のように考えて求めます。
- 土地の上に建物等が建っている場合には、建物等がないものとする。
- 土地の使用収益を制限する借地権等の権利が付着している場合には、権利がないものとする。
・不動産鑑定士が標準地の鑑定評価を行う際は、以下3つの価格を考慮して求める必要があります。
- 比準価格(近傍類地の取引価格から算定される推定の価格)
- 収益価格(近傍類地の地代等から算定される推定の価格)
- 積算価格(同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額)
③標準地の正常な価格の判定と公示
標準地の正常な価格の判定
・土地鑑定委員会は、複数の不動産鑑定士が提出した鑑定評価書に記載されている鑑定評価額に必要な調整を行い、標準地の正常な価格を判定します。
・標準地の正常な価格の判定では、鑑定評価額を単純に平均するのではなく、どの鑑定評価額をどれだけ重視するかを見極めて判定します。
公示
・土地鑑定委員会は、判定した標準地の正常な価格を公示(官報にて公表)します。
・標準地の正常な価格は、公示されることで公示価格となります。
・以下に挙げるものが、公示される主な事項です。
・公示区域内で不動産の鑑定評価や、土地収用法等における土地の取得価格を求める場合には、公示価格を規準としなければなりません。
・一方で一般の取引では、公示価格を指標として取引を行うように努めなければなりません。
④書面と図面の送付
・土地鑑定委員会は、公示後遅滞なく関係市町村の長に対して、市町村が属する都道府県にある標準地に係る部分を記載した書面と標準地の所在を表示する図面を送付します。
・関係市町村の長は、土地鑑定委員会から送られてきた書面と図面を、事務所において一般の閲覧に供しなければなりません。