「造成宅地防災区域」をわかりやすく解説
造成宅地防災区域とは?
・造成宅地防災区域とは、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域のうち、政令で定める基準に該当する区域のこと。
・造成宅地防災区域は、宅地造成工事規制区域外で指定されます。
・宅地造成が行われた土地(造成宅地)では、災害を防止する義務があり、勧告や改善命令が出される場合があります。
・宅地造成等規制法第二十条では、造成宅地防災区域は以下のように表現されています。
都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成工事規制区域内の土地を除く。)の区域であつて政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
造成宅地防災区域の指定
・造成宅地防災区域は、関係市町村長の意見を聞いて都道府県知事等が指定します。
保全義務
・造成宅地の所有者、管理者または占有者は、宅地造成による災害の防止に努めなければならないとされています。
・その災害の防止手段として、擁壁の設置や改造などの措置が求められます。
・造成宅地では、切土や盛土が行われているため、地盤の変化による崖の崩壊や土砂崩れが発生しやすくなります。
報告
・都道府県知事等は、宅地の所有者、管理者または占有者に対して、宅地または宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。
勧告
・都道府県知事等は、造成宅地の所有者、管理者または占有者に対して、擁壁等の設置又は改造など、災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができます。
改善命令
・都道府県知事等は、災害の防止のため必要な措置が取られていない場合には、造成宅地または擁壁の所有者、管理者または占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置又は改造などの工事を行うことを命ずることができます。
問題を解くポイント
造成宅地防災区域の範囲
・造成宅地防災区域は、宅地造成工事規制区域以外の地域で指定され、両地域はかぶりません。
・「宅地造成工事規制区域内で指定される」という問題に注意しましょう。
宅地造成工事規制区域との違い
・宅地造成工事規制区域内では、宅地造成工事の許可が必要とされていますが、造成宅地防災区域では許可が不要となります。
・宅地造成工事規制区域内で届出が必要な行為の届出も不要です。
・宅地造成工事規制区域では規制の対象に、「区域の指定前に工事が行われた造成宅地」が含まれますが、造成宅地防災区域では含まれません。
・両地域の規制内容の違いに注意しましょう。