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「宅地造成工事規制区域(宅地造成等規制法)」とは?わかりやすく解説

「宅地造成工事規制区域(宅地造成等規制法)」とは?わかりやすく解説

「宅地造成工事規制区域」をわかりやすく解説

宅地造成工事規制区域とは?

宅地造成工事規制区域とは、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地または市街地となろうとする区域のうち、宅地造成に関する工事について規制を行う必要がある区域のこと。

宅地造成工事規制区域において、一定規模を超える工事を行う場合等は、許可や届出が必要となります。

カエルさん
カエルさん
・許可や届出が必要となるのは宅地造成工事規制区域のみであり、造成宅地防災区域では許可や届出は不要です。

宅地造成工事規制区域造成宅地防災区域にある造成宅地では、災害を防止する義務があり、勧告や改善命令が出される場合があります。


宅地造成等規制法第三条では、宅地造成工事規制区域は以下のように表現されています。

都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)の区域内の土地については、それぞれ指定都市又は中核市の長。第二十四条を除き、以下同じ。)は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見を聴いて、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であつて、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成工事規制区域として指定することができる。

宅地造成工事規制区域の指定

宅地造成工事規制区域は、関係市町村長の意見を聞いて都道府県知事等が指定します。

調査のための立入り

・都道府県知事や知事が任命した者等は、宅地造成工事規制区域の指定に必要な測量または調査のために、他人の占有する土地に立ち入ることができます。

・他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立入る3日前までに占有者に通知しなければなりません。

カエルさん
カエルさん
・立入りに占有者の許可や承諾は不要であるという点に注意しましょう。

・土地の所有者または占有者は、正当な理由がない限り、立入りを拒んだり妨げたりしてはいけません。

・都道府県等は、測量又は調査のための立ち入りによって占有者に損失を与えた場合、損失を補償しなければなりません。

宅地造成工事の許可(法第8条第1項本文の工事の許可)

許可が必要な行為

宅地造成工事の造成主は、工事開始前に都道府県知事等の許可(法第8条第1項本文の工事の許可)を受ける必要があります

・ただし、開発行為の許可(都市計画法第29条第1項または第2項の許可)を得て行われるものは、許可不要となります。

宅地造成に当たるのは、宅地以外を宅地にすることまたは宅地内における切土盛土等のうち、次のいずれかに該当するものを言います。

  • 切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生じさせるもの
  • 盛土をした土地の部分に高さが1mを超える崖を生じさせるもの
  • 切土盛土とを同時にする場合における盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1m以下の崖を生じ、かつ、切土及び盛土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生じさせるもの
  • 上記のいずれにも該当しない切土または盛土で、切土盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの

・都道府県知事等は遅滞なく、文書をもって許可または不許可の処分を申請者に通知しなければなりません。工事の許可を与えるにあたっては、条件を付けることができます。

・都道府県知事等は、不正の手段によって許可を受けた者や条件に違反した者の許可を取り消すことができます

・許可を受けた造成主は、工事完了後に都道府県知事等による検査を受け、検査済証の交付を受ける必要があります。

宅地造成工事の技術的基準

宅地造成工事規制区域内で行う宅地造成工事は、政令で定める技術的基準に従い、災害を防止するために必要な措置を講じたものでなければなりません。

・都道府県知事等は、都道府県の規則で技術的基準を強化したり必要な技術的基準を付加したりできます。

工事の変更

・工事の計画の変更を行う場合、都道府県知事等の許可が必要です。

・ただし、以下に挙げる軽微な変更は許可は不要ですが、変更後遅滞なく、変更を都道府県知事等に届け出なければなりません。

  • 造成主、設計者又は工事施行者の変更
  • 工事の着手予定年月日又は工事の完了予定年月日の変更

有資格者による設計が必要な行為

・次の設置工事は、政令で定める資格を有する者により設計されたものでなければなりません。

  • 高さが5mを超える擁壁の設置
  • 切土又は盛土をする土地の面積が1500㎡を超える土地における排水施設の設置

届け出が必要な行為

・許可は不要だが、都道府県知事等に届出が必要な場合があります。

  • 宅地造成工事規制区域の指定時に既に行われている宅地造成工事の造成主は、区域の指定から21日以内に届出を行う必要があります。
  • 高さが2mを超える擁壁、地表水等を排除するための排水施設、地滑り抑止ぐい等の除却工事を行う場合工事開始の14日前までに届出を行う必要があります。
  • 宅地以外を宅地にすることのうち、宅地造成を行わない場合には、宅地にしてから14日以内に届出を行う必要があります。

災害防止のための義務

保全義務

造成宅地宅地造成工事規制区域の指定前に工事が行われたものを含む)の所有者、管理者または占有者は、宅地造成による災害の防止に努めなければならないとされています。

・その災害の防止手段として、擁壁の設置や改造などの措置が求められます。

造成宅地では、切土盛土が行われているため、地盤の変化による崖の崩壊や土砂崩れが発生しやすくなります。

状況の報告

・都道府県知事等は、宅地の所有者、管理者または占有者に対して、宅地または宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができます。

勧告

・都道府県知事等は、造成宅地宅地造成工事規制区域の指定前に工事が行われたものを含む)の所有者、管理者、占有者、造成主または工事施行者に対して、擁壁等の設置又は改造など、災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができます。

カエルさん
カエルさん
宅地造成工事規制区域の勧告の対象だけ、造成主または工事施行者が含まれる点に注意しましょう。

改善命令

・都道府県知事等は、災害の防止のため必要な措置が取られていない場合には、造成宅地または擁壁宅地造成工事規制区域の指定前に工事が行われたものを含む)の所有者、管理者または占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置又は改造などの工事を行うことを命ずることができます。

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