出題の重要度 ★★☆
「契約不適合責任についての特約の制限」をわかりやすく解説
この制限とは?
・宅地建物取引業法第四十条第一項では、以下のように規定されています。
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

民法の原則
・民法では、目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、責任を追及できないとされています。
【補足】民法の起算点は「買主が不適合を知った時」です。引渡しの時ではありません。

認められる唯一の例外
| 項目 | 内容 |
| 認められる特約 | 通知期間を目的物の引渡しの日から2年以上とする特約 |
| 効果 | 民法の「知った時から1年以内」より買主に不利になりますが、有効 |
| 特約の例 | 有効/無効 |
| 通知期間を引渡しの日から2年とする | 有効(例外にあたります) |
| 通知期間を引渡しの日から3年とする | 有効(2年以上なので例外にあたります) |
| 通知期間を引渡しの日から1年とする | 無効 |
| 通知期間を契約の日から2年とする | 無効(起算点が引渡しの日ではありません) |
| 契約不適合責任を一切負わないとする | 無効 |
| 通知期間を知った時から2年とする | 有効(民法より買主に有利です) |
特約が無効になったとき
・この規定に反する特約は無効となります。無効になった場合は、民法の原則(買主が不適合を知った時から1年以内に通知)に戻ります。
【補足】「特約が無効になると引渡しの日から2年になる」わけではありません。民法の原則に戻る、というのが正解です。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 通知期間を引渡しの日から2年とする特約は、有効である。 |
| イ | 通知期間を契約の日から2年とする特約は、有効である。 |
| ウ | 通知期間を引渡しの日から1年とする特約は、有効である。 |
| エ | 責任を一切負わないとする特約は、有効である。 |
| オ | 特約が無効になると、引渡しの日から2年になる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | × | × |
ア ○ 正しい
・通知期間を目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は、民法より買主に不利でも有効とされる唯一の例外です。
・民法の原則は「買主が不適合を知った時から1年以内に通知」ですが、それでは売主である業者がいつまでも責任を負い続けることになります。そこで、引渡しから2年という区切りだけは認められています。
・「2年以上」なので、引渡しの日から3年とする特約も有効です。2年ちょうどが下限だと押さえましょう。
イ × 誤り
・有効ではなく無効です。例外として認められる起算点は契約の日ではなく目的物の引渡しの日でなければなりません。
・契約から引渡しまでには期間が空くことがあり、契約の日から数えると買主が実際に物件を確かめられる期間が2年より短くなってしまうからです。
・「契約の日から2年」「代金完済の日から2年」のように起算点をずらす出題が定番です。引渡しの日から2年以上とセットで暗記し、起算点を必ず確認してください。
ウ × 誤り
・有効ではなく無効です。認められるのは引渡しの日から2年以上とする特約なので、1年では期間が足りません。
・8種制限は素人の買主を守るための規制で、民法より買主に不利な特約は原則として認められないからです。1年とする特約は、その原則に反したままの短縮になります。
・無効になった結果、通知期間が1年や2年になるのではなく民法の原則(不適合を知った時から1年以内に通知)に戻る点まで押さえておきましょう。
エ × 誤り
・有効ではなく無効です。責任を一切負わないとする特約は、民法の原則より買主にとって著しく不利であり、認められる例外にもあたらないからです。
・この規定で認められる例外は引渡しの日から2年以上とする特約ただ一つで、それ以外に買主を不利にする合意はできません。
・「契約不適合責任を負わない」「責任を負う期間は設けない」といった特約は、買主が同意していても無効です。買主の承諾があれば有効になる、という記述は誤りになります。
オ × 誤り
・引渡しの日から2年になるのではなく、特約がなかったものとして民法の原則に戻ります。つまり、買主は不適合を知った時から1年以内に通知すればよいことになります。
・無効な特約の穴を「2年」で埋めてしまうと、違反した業者が結局2年という有利な期間を手にすることになり、規制の意味がなくなるからです。
・結果として、買主にとっては2年より有利になることもあります。「無効なら2年」と覚えていると必ず引っかかるので注意しましょう。
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