出題の重要度 ★★★
「不法行為」をわかりやすく解説

不法行為とは?
・不法行為とは、故意や過失で他人に損害を与えることです(民法709条)。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(民法709条)
成立するための4つの要件
・不法行為が成立するには、次の4つがそろう必要があります。
- 故意または過失があること
- 他人の権利・利益を侵害したこと
- 損害が発生したこと
- 行為と損害に因果関係があること
【補足】加害者に故意・過失があったことは、原則として被害者の側が証明します。

責任能力がないと責任を負わない
・自分の行為の責任を判断できる能力(責任能力)がない人は、賠償責任を負いません。
| 加害者 | 扱い |
| 責任能力のない未成年者 | 本人は責任を負わない(民法712条) |
| 精神上の障害で判断力を欠く人 | 本人は責任を負わない(民法713条) |
・この場合、監督義務者(親など)が責任を負うことがあります(民法714条)。
賠償の範囲と過失相殺
・被害者に過失があったときは、裁判所はそれを考慮して賠償額を減らすことができます(過失相殺・民法722条2項)。
【補足】不法行為の過失相殺は「考慮できる」で、裁判所の裁量です。債務不履行では「考慮する」で必ず考慮する点と違います。
消滅時効
・不法行為の損害賠償請求権は、次のときに時効消滅します(民法724条)。
| 起算点 | 期間 |
| 損害と加害者を知った時から | 3年 |
| 不法行為の時から | 20年 |
【補足】生命・身体を害する不法行為では、「知った時から3年」が5年に伸びます(民法724条の2)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 故意または過失で他人に損害を与えると、不法行為になる。 |
| イ | 責任能力のない未成年者は、不法行為の賠償責任を負わない。 |
| ウ | 被害者に過失があっても、裁判所は賠償額を減らすことができない。 |
| エ | 不法行為の賠償請求権は、損害と加害者を知った時から3年で時効消滅する。 |
| オ | 加害者の故意・過失は、加害者の側が「なかった」と証明する。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・故意・過失で他人の権利・利益を侵害すると不法行為です(民法709条)。
・契約がなくても損害賠償の責任が生じます。
・成立には4つの要件がそろう必要があります。
イ ○ 正しい
・・責任能力のない未成年者は本人は責任を負いません(民法712条)。
・代わりに監督義務者(親など)が責任を負うことがあります。
・自分の行為の責任を判断できる能力が基準です。
ウ × 誤り
・・被害者の過失を考慮して賠償額を減らせます(過失相殺・民法722条)。
・不法行為では「考慮できる」という裁判所の裁量です。
・「減らせない」は誤りです。
エ ○ 正しい
・・知った時から3年で時効消滅します(民法724条)。
・不法行為の時から20年でも消滅します。
・生命・身体を害する場合は3年が5年に伸びます。
オ × 誤り
・・原則として被害者の側が故意・過失を証明します。
・不法行為を主張する側が要件をそろえて立証します。
・「加害者が証明する」は誤りです。
