出題の重要度 ★☆☆
「質権」をわかりやすく解説

質権とは?
・質権とは、債権の担保として債務者などから受け取った物を占有し、弁済がなければその物から優先して弁済を受けられる権利です(民法342条)。
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
質権の種類
・質権は、目的物によって3種類に分かれます。
| 種類 | 目的物 |
| 動産質 | 宝石・時計などの動産 |
| 不動産質 | 土地・建物 |
| 権利質 | 債権などの財産権 |
・いわゆる「質屋」に品物を預けてお金を借りるのが、動産質のイメージです。

引渡しが効力の発生要件
・質権は、目的物を引き渡すことで効力が生じます(民法344条)。当事者が合意しただけでは足りず、実際に物を渡して初めて成立します。
・しかも質権者は、設定者に占有を続けさせることはできません(民法345条)。物を預けたはずなのに手元に置いたまま、というのは認められないということです。
流質契約の禁止
・弁済期の前に、弁済の代わりに質物の所有権をそのまま取得する約束(流質契約)をすることは禁止されます(民法349条)。
・借金より高い品物でも、返せなければ丸ごと取られてしまうと、債務者にあまりに酷だからです。
【補足】弁済期が過ぎた後に改めて合意する場合や、質屋営業などには例外があります。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 質権は、目的物を質権者に引き渡すことで効力が生じる。 |
| イ | 質権者は、弁済を受けるまで質物を留置できる。 |
| ウ | 質権設定者に、質物の占有を続けさせることができる。 |
| エ | 弁済期の前に、質物を丸取りする約束をしてもよい。 |
| オ | 質権は、債権などの財産権を目的とすることもできる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | × | ○ |
ア ○ 正しい
・そのとおり。質権の設定は、目的物を質権者に引き渡すことで効力を生じます(344条)。
・引渡しは効力の発生要件(要物契約)で、当事者の合意だけでは成立しません。
・占有を移さない抵当権との、一番の違いがこの点です。
イ ○ 正しい
・そのとおり。質権者は債権の弁済を受けるまで、質物を留置できます(347条)。
・手元に置き続けることで、債務者に心理的に弁済を促す働きがあります。
・質権には優先弁済的効力もあり、留置的効力と両方を持つ点が留置権と違います。
ウ × 誤り
・できません。質権者は設定者に、自分に代わって質物の占有をさせることができません(345条)。
・占有を設定者に戻すと公示の意味がなくなり、質権の存在が外から分からなくなるためです。
・占有を設定者のもとに残せる抵当権との違いとして問われます。
エ × 誤り
・できません。弁済期の前に質物の所有権を取得させるなどの流質契約は禁止されています(349条)。
・困窮した債務者が、借金額よりはるかに高価な物を奪われるのを防ぐためです。
・なお商法上や質屋営業では流質が認められるなど、例外がある点も参考に押さえましょう。
オ ○ 正しい
・そのとおり。質権は動産・不動産のほか、財産権を目的とすることもできます(362条)。
・債権などの財産権を目的とする質権を権利質といいます。
・質権は「動産質・不動産質・権利質」の3種類がある、と整理して覚えましょう。
この記事の内容に誤りや分かりにくい点を見つけられましたら、こちらのフォームからお知らせください。該当記事は自動で入力されます。
