出題の重要度 ★★☆
「取消しと登記」をわかりやすく解説

取消しと登記の問題とは?
・取り消すと、その意思表示ははじめにさかのぼって無効になります。
・ところが、取り消す前後に第三者が現れると話が複雑になります。ポイントは、その第三者が取消しの前に現れたか、後に現れたかです。
【補足】これは解除・時効・相続の「登記」の問題とも共通する、物権変動の対抗問題の一場面です。
取消し前に現れた第三者
・取り消す前に現れた第三者は、意思表示の種類しだいで結論が決まります。
| 種類 | 取消し前の第三者 |
| 詐欺 | 善意無過失なら守られる(対抗できない) |
| 強迫 | 守られない(対抗できる) |
・詐欺は96条3項で第三者が守られますが、強迫にはその規定がありません。

取消し後に現れた第三者
・取り消した後に現れた第三者とは、登記の早い者勝ちになります(民法177条の対抗問題)。
・図のように、取り消して所有権が戻ってきた自分と、取消し後に相手から買った第三者は、先に登記を備えた方が勝ちます。ここでは善意・悪意を問いません。
まとめ
・取消しをめぐる第三者との関係は、次のように整理できます。
| 場面 | 決め手 |
| 取消し前の第三者 | 詐欺は善意無過失で保護/強迫は保護なし |
| 取消し後の第三者 | 登記の早い者勝ち(177条) |
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 取消しの前と後で、第三者との勝ち負けの決め方が変わる。 |
| イ | 詐欺の取消し前に現れた善意無過失の第三者は守られる。 |
| ウ | 強迫の取消し前に現れた第三者も、必ず守られる。 |
| エ | 取消し後に現れた第三者とは、登記が早い者勝ちになる。 |
| オ | 取消し後の第三者に勝つには、登記はいらない。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・○。第三者が取消しの前か後かで、結論の決め方が変わります。
・前は第三者保護の規定、後は登記の対抗問題で決まります。
・まず第三者が前か後かを見分けるのがコツです。
イ ○ 正しい
・・○。詐欺の取消しは善意無過失の第三者に対抗できません(96条3項)。
・取消し前に現れた第三者は、この規定で守られます。
・守られるには善意だけでなく無過失も必要です。
ウ × 誤り
・・×。強迫には第三者を守る規定がなく、取り消しを対抗できます。
・おどされた本人に落ち度がないため、第三者より本人が優先されます。
・正しくは「強迫の取消し前の第三者は守られない」です。
エ ○ 正しい
・・○。取消し後の第三者とは177条の対抗問題になります。
・取り戻した自分と第三者は、先に登記を備えた方が勝ちます。
・ここでは第三者の善意・悪意は問いません。
オ × 誤り
・・×。取消し後の第三者には、登記を備えないと勝てません。
・取消し後は177条の対抗問題で、登記の早い者勝ちだからです。
・正しくは「登記を備えた方が勝つ」です。
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