出題の重要度 ★★★
「成年被後見人」をわかりやすく解説

成年被後見人とは?
・成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者のこと(民法7条・8条)。
・後見開始の審判を受けた者には成年後見人が付されます。
法律行為は取り消すことができる
・成年被後見人がした法律行為は、取り消すことができます(民法9条本文)。
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
・取り消すことができるのは、成年被後見人本人、成年後見人、承継人などです(民法120条1項)。
【補足】取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。

同意を得ていても取り消せる
・成年後見人の同意を得てした行為であっても、取り消すことができます。ここが未成年者や被保佐人と大きく違うところです。
・成年後見人には、そもそも同意権がありません。判断能力を欠く常況にある以上、同意どおりに行動できるとは限らないからです。
| 成年後見人の権限 | 有無 |
| 同意権 | な し |
| 代理権 | あり(民法859条1項) |
| 取消権・追認権 | あり |
日用品の購入は取り消せない
・日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取り消すことができません(民法9条ただし書)。
・食料品や日用雑貨を買うといった行為まで取り消せるとすると、本人が普通の生活を送れなくなってしまうためです。
【補足】この例外は、被保佐人や被補助人についても同じように置かれています(民法13条1項ただし書、17条1項ただし書)。
相手方の保護
・取引の相手方は、成年後見人に対し、1か月以上の期間を定めて追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。確答がないときは追認したものとみなされます(民法20条2項)。
・また、成年被後見人が詐術を用いたときは、取り消すことができません(民法21条)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。 |
| イ | 成年後見人の同意を得た行為は、取り消すことができない。 |
| ウ | 日用品の購入は、取り消すことができない。 |
| エ | 成年後見人には、代理権がある。 |
| オ | 成年後見人には、同意権がある。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | ○ | × |
ア ○ 正しい
・成年被後見人の法律行為は取り消すことができます(民法9条本文)。
・事理を弁識する能力を欠く常況にある者を、不利な取引から広く守るためです。
・例外は日用品の購入その他日常生活に関する行為だけです。原則と例外をセットで覚えましょう。
イ × 誤り
・同意を得た行為であっても取り消すことができます。成年後見人に同意権はありません。
・判断能力を欠く常況にある以上、同意どおりに行動できるとは限らないためです。
・正しくは「同意を得ていても取り消せる」です。未成年者や被保佐人との違いがそのまま出題されます。
ウ ○ 正しい
・日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せません(民法9条ただし書)。
・これも取り消せるとすると、本人が普段の買い物すらできなくなってしまうからです。
・同じ例外は被保佐人・被補助人にも置かれています。3類型に共通する例外だと押さえましょう。
エ ○ 正しい
・成年後見人は財産に関する法律行為について本人を代表します(民法859条1項)。
・同意権がない代わりに、代理権によって本人の生活を支える仕組みになっています。
・保佐人・補助人の代理権は家庭裁判所の審判があるときだけです。当然に付く成年後見人とは違います。
オ × 誤り
・成年後見人に同意権はありません。
・同意を得ていても取り消せることが、同意権がないことの表れです。
・正しくは「成年後見人にあるのは代理権・取消権・追認権で、同意権はない」です。ここが最大の特徴です。
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