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「制限行為能力者(民法)」とは?わかりやすく解説

「制限行為能力者(民法)」とは?わかりやすく解説

出題の重要度 ★★☆

「制限行為能力者」をわかりやすく解説

制限行為能力者とは?

制限行為能力者とは、単独では完全な法律行為をすることができない者として民法が定めた4つの類型のこと。

カエルさん
カエルさん
・判断能力が十分でない人が不利な契約をしてしまわないように、民法は本人を保護する仕組みを用意しています。その反面、取引の相手方が不安定な立場に置かれるため、相手方を保護する規定もセットで置かれています。

「制限行為能力者(民法)」とは?わかりやすく解説の要点

・4つの類型は未成年者成年被後見人被保佐人被補助人です(民法第13条第1項第10号)。

4つの類型と保護者

類型 対象となる人 保護者
未成年者 18歳未満の者 親権者・未成年後見人(法定代理人)
成年被後見人 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるとして、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者 成年後見人
被保佐人 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であるとして、家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者 保佐人
被補助人 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であるとして、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者 補助人

 

・成年年齢は18歳です(民法第4条)。

【補足】補助開始の審判は、本人以外の者の請求によるときは本人の同意がなければすることができません(民法第15条第2項)。後見開始・保佐開始の審判には、このような本人の同意の要件はありません。

制限行為能力者の4類型を比較した図

未成年者

・未成年者(18歳未満)が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意のない行為は取り消すことができます(民法5条)。

・くわしくは「未成年者」とは?わかりやすく解説をご覧ください。

成年被後見人

・成年被後見人の法律行為は取り消すことができます(民法9条本文)。成年後見人の同意を得ていても取り消せる点が特徴です。

・くわしくは「成年被後見人」とは?わかりやすく解説をご覧ください。

被保佐人・被補助人

・被保佐人は原則として単独で法律行為ができ、民法13条1項が挙げる重要な行為をするときだけ保佐人の同意が必要になります。くわしくは「被保佐人」とは?わかりやすく解説をご覧ください。

・被補助人は、補助人の同意を要する旨の審判で決められた行為だけが制限されます(民法17条1項)。

・くわしくは「被補助人」とは?わかりやすく解説をご覧ください。

取引の相手方の保護

・相手方は1か月以上の期間を定めて催告できます(民法20条)。返事がないときは、単独で追認できる人に催告したなら追認、できない人に催告したなら取消しとみなされます。

・制限行為能力者が詐術を用いたときは取り消せません(民法21条)。

・くわしくは「制限行為能力者の相手方の保護」とは?わかりやすく解説をご覧ください。

取消しの効果と期間

・取り消された行為は初めから無効であったものとみなされます(民法第121条)。

・受け取ったものは返還しなければなりませんが、制限行為能力者であった者は「現に利益を受けている限度」で返還すれば足ります(民法第121条の2第3項)。

・取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないと時効🔗によって消滅します。行為の時から20年を経過したときも同様です(民法第126条)。

【補足】取消しができるのは、制限行為能力者本人・その代理人🔗・承継人・同意をすることができる者に限られます(民法第120条第1項)。なお、制限行為能力者本人が単独で取り消すこともできます。

練習問題

・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。

記号 記述
未成年者とは、18歳未満の者をいう。
未成年者が親の同意なくした契約は、取り消すことができる。
成年被後見人がした契約は、日用品の購入でも取り消せる。
被保佐人は、借金をするのに保佐人の同意がいる。
制限行為能力者が詐術を用いた場合でも、契約を取り消せる。

 

練習問題の解説

・解答は次のとおりです。

× ×

 

ア ○ 正しい

・民法は18歳をもって成年とすると定めているので、18歳未満の人が未成年者です。
・かつては20歳が成年でしたが、2022年4月に18歳に引き下げられました。年齢を入れ替えた引っかけが出るので、「20歳未満」と書いてあれば誤りと判断できるようにしておきましょう。
・成年年齢が下がった結果、18歳・19歳は親の同意なしに契約でき、あとから取り消すこともできません。

イ ○ 正しい

・未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意のない行為は取り消すことができます
・判断能力が十分でない本人を守るための制度なので、効果は「無効」ではなく取消しです。取り消すかどうかを本人側が選べるようにして、有利な契約はそのまま残せるようにしています。
・ただし単に権利を得るだけの行為(負担のない贈与を受けるなど)や、お小遣いの範囲での処分は、同意がなくても単独でできます。

ウ × 誤り

日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消すことができません。原則は取消し可、その例外がこれです。
・日々の買い物まで取り消せるとすると、本人が普通の生活を送れなくなってしまうためです。保護しすぎることがかえって本人の不利益になる、という発想です。
・成年被後見人は、後見人の同意を得てした行為でも取り消せる点も要注意。ここが未成年者や被保佐人との違いです。

エ ○ 正しい

・「借財又は保証をすること」は民法13条1項が挙げる重要な財産上の行為にあたるので、保佐人の同意が必要です。
・被保佐人は判断能力が著しく不十分な人なので、日常の行為は自由にでき、大きな財産が動く行為だけを保佐人にチェックしてもらう形になっています。
・宅建で最頻出なのは不動産その他重要な財産に関する権利の得喪。被保佐人が土地や建物を売買するには同意が必要、と押さえてください。

オ × 誤り

・行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。取り消せる、が誤りです。
・だました人まで保護する必要はなく、むしろ信じた相手方=取引の安全を守るべきだからです。保護の天秤が相手方の側に傾く場面と考えてください。
・制限行為能力者を保護する規定と、相手方を保護する規定(催告権・詐術)はセットで置かれています。両方向から出題されます。

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