出題の重要度 ★☆☆
「虚偽表示」をわかりやすく解説
虚偽表示とは?
・虚偽表示とは、相手方と通じてした虚偽の意思表示のこと。通謀虚偽表示ともいいます。
第九十四条(虚偽表示) 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

要件と効果
| 項目 | 内容 |
| 要件 | ①表示に対応する真意がないこと ②相手方と通じていること(通謀) |
| 当事者間の効果 | 無効(民法第94条第1項) |
| 第三者との関係 | 善意の第三者には無効を対抗できない(同条第2項) |
・条文が要求しているのは「善意」だけです。第三者に無過失は要求されていませんし、登記を備えていることも条文上の要件ではありません。
【補足】「対抗することができない」とは、その相手に対して無効だと主張できないという意味です。無効を主張できない結果、善意の第三者は権利を取得できます。

心裡留保との違い
・自分ひとりで真意と違うことを表示するのが心裡留保(民法第93条)、相手方と通じて表示するのが虚偽表示(民法第94条)です。
| 心裡留保(第93条) | 虚偽表示(第94条) | |
| 相手方との通謀 | なし | あり |
| 当事者間の効力 | 原則有効。相手方が悪意又は有過失のときは無効 | 無効 |
| 善意の第三者 | 無効を対抗できない | 無効を対抗できない |
【補足】錯誤🔗と並ぶ意思表示の規定です。心裡留保・虚偽表示のいずれも、善意の第三者に対しては効力を主張できません(第93条第2項、第94条第2項)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 相手と示し合わせてした偽の契約は、無効である。 |
| イ | 偽の契約であることを知らずに買った第三者にも、無効を主張できる。 |
| ウ | 偽の契約であることを知っていた第三者には、無効を主張できる。 |
| エ | 第三者が保護されるには、登記を備えている必要がある。 |
| オ | 虚偽表示は、当事者の間では有効である。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | × |
ア ○ 正しい
・相手方と通じてした虚偽の意思表示(通謀虚偽表示)は無効です。取消しではなく、初めから効力がありません。
・売る意思も買う意思も本当はなく、しかも相手方もそれを分かっている以上、契約として守ってやる必要がないからです。
・差押えを免れるために友人と口裏を合わせて売ったことにする、といった仮装売買が典型例です。
イ × 誤り
・虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗することができません。知らずに買った人に「あれは偽物だから無効だ」とは言えません。
・当事者は自分たちで嘘の外観を作り出した以上、それを信じた人より保護に値しないからです。取引の安全を優先する場面です。
・結論を分けているのは第三者が善意か悪意かの一点だけ。ここを入れ替えた引っかけが繰り返し出ます。
ウ ○ 正しい
・条文が保護しているのは善意の第三者だけなので、悪意の第三者には無効を主張できます。
・嘘だと分かったうえで手を出した人は、外観を信じて取引したわけではないので、保護する理由がありません。
・「善意なら第三者の勝ち、悪意なら当事者の勝ち」と、善意・悪意で結論が反転すると覚えておきましょう。
エ × 誤り
・条文が要求しているのは善意だけで、登記は要件ではありません。登記を備えていなくても、善意であれば保護されます。
・虚偽の外観を作り出した当事者の側に落ち度があるので、第三者に登記まで求めて保護を狭める必要はないと考えられています。
・無過失も要件ではありません。錯誤・詐欺の第三者が「善意でかつ過失がない」ことを要するのと対比して覚えてください。
オ × 誤り
・当事者の間でも無効です。条文が「無効とする」と定めており、当事者間で有効になる余地はありません。
・善意の第三者との関係で無効を主張できなくなるだけで、契約そのものが有効に変わるわけではない、と切り分けて理解しましょう。
・似た制度の心裡留保は、通謀がないため当事者間では原則有効(相手方が悪意または有過失なら無効)。ここが両者の最大の違いです。
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