出題の重要度 ★★☆
「危険負担」をわかりやすく解説

危険負担とは?
・危険負担とは、引渡し前に目的物が滅失したとき、代金を払うのかという問題です(民法536条)。
・建物の売買契約のあと、引き渡す前にその建物が焼けてなくなった、という場面で問われます。
双方に責任がないとき
・当事者双方の責めに帰することができない事由で履行できなくなったときは、買主(債権者)は代金の支払を拒めます(民法536条1項)。
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。(民法536条1項)

買主に責任があるとき
・履行できなくなったのが買主(債権者)の責めによるときは、買主は代金の支払を拒めません(民法536条2項)。
・自分に原因があるのに支払を拒むのは筋が通らないからです。
【補足】この場合、売主が自分の債務を免れて得た利益(他へ転売できた分など)は、買主に償還します。
引渡し後は買主が負担
・目的物を引き渡した後に双方の責任なく滅失したときは、買主は代金の支払を拒めません(危険の移転・民法567条)。
・引渡しによって、滅失の危険が売主から買主へ移るためです。たとえば、鍵を受け取って自分のものとして管理し始めた後に落雷で焼けたなら、買主が代金を払います。
解除との関係
・現在の民法では、双方に責任がない履行不能でも契約を解除できます。
・解除すれば代金債務そのものが消えるので、支払を「拒む」だけでなく、はじめからなくせます。
・くわしくは契約の解除をご覧ください。
【補足】改正で、解除に債務者の帰責事由が不要になったため、危険負担と解除の両方が使えるようになりました。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 双方に責任なく建物が引渡し前に焼けたとき、買主は代金の支払を拒める。 |
| イ | 履行できなくなったのが買主の責めによるときも、買主は代金の支払を拒める。 |
| ウ | 目的物の引渡し後に双方の責任なく滅失したときは、買主が代金を負担する。 |
| エ | 双方に責任がない履行不能では、契約を解除することはできない。 |
| オ | 危険負担は、引渡しの前か後かで結論が変わる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・・双方の責めによらない履行不能では、買主は支払を拒めます(民法536条1項)。
・地震や落雷で焼けたような場合です。
・解除すれば代金債務そのものを消せます。
イ × 誤り
・・買主に責任があるときは支払を拒めません(民法536条2項)。
・自分に原因があるのに拒むのは筋が通らないためです。
・「拒める」は誤りです。
ウ ○ 正しい
・・引渡し後は買主が代金を負担します(危険の移転・民法567条)。
・引渡しで滅失の危険が買主に移るためです。
・「引渡しの前か後か」で結論が変わります。
エ × 誤り
・・双方に責任がなくても解除できます(民法542条など)。
・改正で解除に債務者の帰責事由が不要になりました。
・「解除できない」は誤りです。
オ ○ 正しい
・・引渡しの前は買主が支払を拒め、後は買主が負担します。
・引渡しで危険が売主から買主へ移るためです。
・536条と567条をセットで押さえましょう。
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