出題の重要度 ★★☆
「相殺」をわかりやすく解説

相殺とは?
・相殺とは、お互いの貸し借りを差し引きでゼロにすることです(民法505条)。
・AがBに100万円、BがAに100万円の債権を持っていれば、相殺で両方消せます。
相殺できる条件(相殺適状)
・相殺するには、次の条件(相殺適状)が必要です(民法505条)。
- 互いに同種の目的の債務を負っていること
- 双方の債務が弁済期にあること
・相殺は一方からの意思表示でし、条件や期限を付けられません(民法506条1項)。
【補足】自分の債権(自働債権)は弁済期が来ている必要がありますが、相手への債務(受働債権)は期限の利益を放棄して先に相殺できます。

時効で消えた債権でも相殺できる
・時効で消滅した債権でも、消滅前に相殺適状になっていれば、相殺できます(民法508条)。
相殺できない場合
・次の債務は、加害者の側から相殺できません(民法509条)。
| 受働債権 | 扱い |
| 悪意の不法行為による損害賠償の債務 | 相殺できない |
| 生命・身体の侵害による損害賠償の債務 | 相殺できない |
相殺の効力
・相殺すると、双方の債務は相殺に適した時にさかのぼって消滅します(民法506条2項)。
・相殺の意思表示をした日ではなく、相殺適状になった時点にさかのぼる点に注意します。たとえば、両方の債務が3月に相殺できる状態になっていれば、6月に相殺しても3月にさかのぼって消えます。
【補足】さかのぼるので、その間の利息や遅延損害金の計算にも影響します。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 相殺は、お互いの貸し借りを差し引きでゼロにすることである。 |
| イ | 相殺には、条件や期限を付けることができる。 |
| ウ | 時効で消滅した債権は、消滅前に相殺適状にあってももう相殺できない。 |
| エ | わざと人を傷つけた加害者は、損害賠償債務を自分から相殺できない。 |
| オ | 相殺の効力は、相殺適状になった時にさかのぼって生じる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | × | ○ | ○ |
ア ○ 正しい
・・相殺は双方の債務を差し引きで清算します(民法505条)。
・一方からの意思表示でできます。
・相殺適状という条件が必要です。
イ × 誤り
・・相殺の意思表示に条件・期限は付けられません(民法506条1項)。
・相手の立場を不安定にしないためです。
・「付けられる」は誤りです。
ウ × 誤り
・・消滅前に相殺適状なら相殺できます(民法508条)。
・「相殺できたはず」という期待を守る例外です。
・「もうできない」は誤りです。
エ ○ 正しい
・・悪意の不法行為による損害賠償の債務は加害者から相殺できません(民法509条)。
・賠償を踏み倒すのを防ぐためです。
・生命・身体の侵害による賠償債務も同じです。
オ ○ 正しい
・・相殺は相殺適状の時にさかのぼって効力を生じます(民法506条2項)。
・意思表示をした日ではありません。
・利息や遅延損害金の計算にも影響します。
