出題の重要度 ★★☆
「損害賠償の範囲・過失相殺」をわかりやすく解説

損害賠償の範囲とは?
・債務不履行があると損害賠償を請求できますが、どこまでの損害を賠償してもらえるかには範囲があります(民法416条)。
・青天井ではなく、通常損害と特別損害に分けて考えます。
通常損害と特別損害
・賠償の対象は、次のように分かれます。
| 種類 | 内容 | 賠償の対象 |
| 通常損害 | その不履行から普通に生じる損害 | 当然に対象 |
| 特別損害 | 特別の事情から生じた損害 | 予見すべきだったときだけ |
特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。(民法416条2項)

過失相殺
・損害の発生や拡大について債権者の側にも過失があったときは、裁判所はそれを考慮して賠償額を減らすことができます(民法418条)。
・これを過失相殺といいます。
・たとえば、買主が受け取りを不当に拒んで損害が広がったようなときは、その分だけ賠償額が減らされます。
【補足】債務不履行の過失相殺は、裁判所が必ず考慮しなければならない点が特徴です(「考慮することができる」不法行為の過失相殺との違い)。
賠償額の予定
・あらかじめ損害賠償の額を決めておくこともできます(賠償額の予定・民法420条)。
・予定しておけば、実際の損害額を証明しなくても、その額を請求できます。
・違約金は、賠償額の予定と推定されます(同3項)。
【補足】賠償額を予定しても、履行の請求や解除権の行使は妨げられません(同2項)。
金銭債務の特則
・お金を払う債務(金銭債務)の不履行には、特別の扱いがあります(民法419条)。
- 賠償額は法定利率で決まる(約定利率が高ければそちら)
- 債権者は損害の証明がいらない
- 債務者は不可抗力を言い訳にできない
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 債務不履行の損害賠償は、通常生ずべき損害が対象になる。 |
| イ | 特別の事情による損害は、予見すべきであったときに賠償の対象になる。 |
| ウ | 損害の発生に債権者の過失があっても、賠償額には影響しない。 |
| エ | 損害賠償の額をあらかじめ予定しておくことができる。 |
| オ | 金銭債務の不履行では、債務者は不可抗力を言い訳にできる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・通常損害は当然に賠償の対象です(民法416条1項)。
・その不履行から普通に生じる損害のことです。
・特別損害は、予見すべきだったときだけ対象になります。
イ ○ 正しい
・・特別損害は予見すべきだったときだけ賠償されます(民法416条2項)。
・転売利益を失った損害などがこれにあたります。
・通常損害と特別損害の区別が問われます。
ウ × 誤り
・・債権者に過失があれば、裁判所が賠償額を減らせます(過失相殺・民法418条)。
・債務不履行では、裁判所は必ずこれを考慮します。
・「影響しない」は誤りです。
エ ○ 正しい
・・賠償額の予定ができます(民法420条)。
・予定すれば、実際の損害額を証明しなくても請求できます。
・違約金は賠償額の予定と推定されます。
オ × 誤り
・・金銭債務では不可抗力を抗弁にできません(民法419条3項)。
・お金は「なかった」では済まないためです。
・債権者は損害の証明も不要です。
