出題の重要度 ★★★
「契約の解除」をわかりやすく解説

契約の解除とは?
・契約の解除とは、契約をやめて、なかったことにすることです。
・相手が約束を守らないとき(債務不履行)に、契約に縛られ続けなくてよいようにする制度です。
催告による解除
・原則は、相当の期間を定めて履行を催告し、それでも履行がなければ解除できます(民法541条)。
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。(民法541条)
・ただし、その不履行が軽微であるときは解除できません(同条ただし書)。

催告によらない解除
・次のようなときは、催告なしですぐ解除できます(民法542条)。
- 全部の履行が不能になったとき
- 債務者が履行を明確に拒絶したとき
- 一部不能などで契約の目的を達せられないとき
- 定期行為で、その時期を過ぎたとき
【補足】履行が不能になった、はっきり拒まれた、という場合は、催告しても無意味なので、すぐに解除できます。
解除できない場合
・不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるときは、解除できません(民法543条)。
・自分に原因があるのに解除するのは筋が通らないからです。
【補足】解除には、債務不履行と違って債務者の帰責事由は不要です。損害賠償(帰責事由が必要)との違いに注意しましょう。
解除の効果
・解除されると、各当事者は相手を元の状態に戻す義務(原状回復義務)を負います(民法545条1項)。
・受け取ったお金を返すときは受領の時からの利息を付けます(同2項)。
・ただし、解除の効果は第三者の権利を害することはできません(同1項ただし書)。
・くわしくは解除と登記をご覧ください。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 契約の解除とは、契約をやめてなかったことにすることである。 |
| イ | 催告して相当の期間内に履行がなければ、契約を解除できる。 |
| ウ | 履行が不能になった場合でも、必ず催告してからでないと解除できない。 |
| エ | 不履行が債権者自身の責めに帰すべき事由によるときは、解除できない。 |
| オ | 契約を解除すると、もう損害賠償を請求することはできない。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | ○ | × |
ア ○ 正しい
・・解除は契約を解消してはじめの状態に戻す制度です。
・相手の債務不履行があったときに使えます。
・解除されると当事者は原状回復義務を負います。
イ ○ 正しい
・・相当の期間を定めて催告し、履行がなければ解除できます(民法541条)。
・これが解除の原則の形です。
・ただし不履行が軽微なときは解除できません。
ウ × 誤り
・・全部の履行が不能なときは、催告なしですぐ解除できます(民法542条)。
・催告しても意味がないためです。
・明確な履行拒絶があったときも、無催告で解除できます。
エ ○ 正しい
・・債権者に原因があるときは解除できません(民法543条)。
・自分に落ち度があるのに解除するのは筋が通らないからです。
・一方、解除に債務者の帰責事由は不要です。
オ × 誤り
・・解除しても損害賠償は別に請求できます(民法545条4項)。
・解除と損害賠償は両立します。
・「解除したから賠償なし」は誤りです。
