出題の重要度 ★☆☆
「留置権」をわかりやすく解説

留置権とは?
・留置権とは、他人の物を占有する人が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利です(民法295条)。
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
成立要件
・成立には次の要件が必要です。
| 要件 | 内容 |
| 物に関して生じた債権 | その物と債権に関連があること |
| 弁済期にあること | まだ弁済期が来ていなければ留置できない |
| 占有が適法 | 占有が不法行為で始まっていないこと |
・たとえば時計の修理代金と、預かっている時計との間には関連があるので、留置権が成立します。

効力
・留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまで目的物の全体を留置できます(不可分性)。半分だけ払われても、全部を留置し続けられます。
・目的物は善良な管理者の注意をもって保管しなければなりません。
・一方で、留置権には優先弁済を受ける効力はありません。物を返さないことで支払を促すだけで、その物を競売して代金から先に回収する、ということはできません。
消滅
・留置権者が占有を失うと、留置権は消滅します(民法302条)。
・また、債務者が相当の担保を提供すれば、留置権の消滅を請求できます(民法301条)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 留置権は、その物に関して生じた債権を担保する。 |
| イ | 留置権者は、目的物を競売して優先的に弁済を受けられる。 |
| ウ | 留置権者が目的物の占有を失うと、留置権は消滅する。 |
| エ | 債権の弁済期が来ていなくても、物を留置できる。 |
| オ | 債務者が相当の担保を出せば、留置権の消滅を請求できる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | × | ○ | × | ○ |
ア ○ 正しい
・そのとおり。他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権があるとき、弁済を受けるまで物を留置できます(295条)。
・物と債権に関連(牽連性)が必要で、修理代金とその修理した物などが典型例です。
・無関係な別の債権を理由に、その物を留め置くことはできません。
イ × 誤り
・優先弁済権はありません。留置権は物を留置して弁済を促すだけで、優先弁済的効力はありません。
・競売できる場合もありますが、それは換価のためで、優先的に配当を受ける権利ではありません。
・優先弁済を受けられるのは先取特権・質権・抵当権です。
ウ ○ 正しい
・そのとおり。留置権者が占有を失うと、留置権は消滅します(302条)。
・留置=占有し続けることが権利の中身なので、占有を離すと存在意義がなくなるためです。
・占有が対抗要件ではなく、成立・存続そのものの要件である点が特徴です。
エ × 誤り
・留置できません。被担保債権が弁済期にないときは、留置権は成立しません(295条ただし書)。
・弁済期の前から留置を認めると、事実上支払いを前倒しで強制することになるからです。
・「弁済期の到来」が留置権の成立要件だと押さえておきましょう。
オ ○ 正しい
・そのとおり。債務者は相当の担保を提供して、留置権の消滅を請求できます(301条)。
・別の担保に置き換えることで、留置されている物を取り戻せるという趣旨です。
・請求できるだけで当然消滅ではなく、担保の提供が前提になる点に注意しましょう。
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