出題の重要度 ★★☆
「時効と登記」をわかりやすく解説

時効と登記の問題とは?
・他人の土地を長く占有し続けると、その土地を時効取得できます(民法162条)。
・このとき、元の所有者から土地を買った第三者が現れると、時効取得した人と第三者のどちらが勝つかが問題になります。ポイントは、その第三者が時効完成の前か後かです。
時効完成前に現れた第三者
・時効が完成する前に元の所有者から土地を買った第三者に対しては、時効取得者は登記がなくても勝てます。
・時効完成前の第三者は、時効取得者から見れば当事者(元の所有者)と同じ立場に立つからです。
【補足】この第三者は、登記の勝負の相手(第三者)ではなく、時効取得の相手方そのものと同視されます。

時効完成後に現れた第三者
・時効が完成した後に元の所有者から土地を買った第三者とは、登記の早い者勝ちになります(民法177条の対抗問題)。
・図のように、時効取得者と時効完成後の第三者は、先に登記を備えた方が勝ちます。
起算点はずらせない
・「第三者が現れた後まで時効の起算点をずらせば、いつでも完成前にできる」とはいきません。
・時効の起算点は、占有を始めた時点で固定され、都合よく動かすことはできません(判例)。
練習問題
・次の記述について、正しいか誤っているかを考えてみましょう。
| 記号 | 記述 |
| ア | 時効完成の前に土地を買った第三者には、登記なしで勝てる。 |
| イ | 時効完成の後に土地を買った第三者とは、登記が早い者勝ちだ。 |
| ウ | 時効完成後の第三者に勝つには、登記はいらない。 |
| エ | 時効の起算点は、自分の都合のよい時点にずらせる。 |
| オ | 時効の前か後かで、第三者との勝ち負けの決め方が変わる。 |
練習問題の解説
・解答は次のとおりです。
| ア | イ | ウ | エ | オ |
| ○ | ○ | × | × | ○ |
ア ○ 正しい
・・○。時効完成前の第三者には、時効取得者は登記なしで対抗できます。
・完成前の第三者は、時効取得者から見て当事者と同じ立場だからです。
・この場面では登記の勝負になりません。
イ ○ 正しい
・・○。時効完成後の第三者とは177条の対抗問題になります。
・時効取得者と第三者は、先に登記を備えた方が勝ちます。
・完成前と完成後で扱いが逆になる点が狙われます。
ウ × 誤り
・・×。時効完成後の第三者には、登記を備えないと勝てません。
・完成後は177条の対抗問題で、登記の早い者勝ちだからです。
・正しくは「登記を備えた方が勝つ」です。
エ × 誤り
・・×。時効の起算点は、占有を始めた時点で固定されます。
・起算点を勝手にずらすことは認められていません(判例)。
・正しくは「起算点は占有開始時で固定され、動かせない」です。
オ ○ 正しい
・・○。第三者が時効完成の前か後かで、結論が変わります。
・完成前は登記なしで勝て、完成後は登記の早い者勝ちです。
・まず第三者が完成の前か後かを見分けましょう。
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